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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第7回 急変患者への対応と心肺蘇生(1)

吉田学園医療歯科専門学校救命救急学科専任教員
三上 剛人

ライブ研修 7月2日(水)/ オンデマンド研修 7月4日(金)〜7月18日(金)

患者急変はいつどこで起こるかわからず、その場に居合わせたらパニックになって、普段の冷静さを欠いてしまう事があります。そこで、急変時はまず冷静に的確に対応することが必要です。混乱する急変場面で必要なのは、難しい知識ではなく、今やるべき事です。ここでは、標準的なBLS(Basic Life Support)だけではなく、急変時に何が必要なのかを考え、心肺停止に至る前に患者さんをアセスメントする思考過程をシンプルにまとめていきます。

発信会場:発信会場:吉田学園医療歯科専門学校(北海道札幌市)

第7回 急変患者への対応と心肺蘇生(1)

質疑応答

  • 患者、傷病者が倒れていても、手元にバックマスクやフェイスシールドマスク、バリアブライズ等がなかった場合、人工呼吸をするのに抵抗があるのですが、実際にどのくらいの時間ならば人工呼吸をしなくても良いものでしょうか。
    まず人工呼吸をしなくても良いのかというご質問なのですが、突然倒れた場合は、肺胞内ガス酸素量が16%は維持されているなら、胸骨圧迫のみで良いと言われることがあります。講義の動画の中で搬送CPRということで、突然倒れたときのみのケースに限り、目撃した時は胸骨圧迫をしましょうと推奨しており、通行人がしている場面がありました。

    ではどのくらい人工呼吸をやらなくても良いかという話ですが、できるだけ早期にと言うしかありません。院内での急変の場合は、発症目撃から除細動までが3分以内という目標でありますから、最低でもその時間で救急カートやバックマスク等が届くと思って、はじめたいと思います。
    200回の胸骨圧迫を繰り返すというプロトコルで蘇生率が上ったというデータもありますので、時代の流れとして、感染などの問題のある人工呼吸をやりたくない場合は、それよりもしっかり胸骨圧迫をしましょうということが言われています。
    院内ではAEDがありますから3分以内で大丈夫でしょうし、外であっても、およそ救急車が到着するまでは5~6分という全国平均ですから、それが胸骨圧迫のみで心肺蘇生をする時間の目安でしょうか。
  • 気道管理について、バックバルーンマスクをするように教育されていますが、実際の場面となるとEC法という手技が難しい。実際の急変の場面では1人でやることとなると思いますが、教えていただけますか?
    シミュレータを使ってバックマスクの手技をEC法でやってみます。本来は2人でやる方が確かですが、まず1人で行う方法です。Cでマスクをしっかり押さえています。ただこのときに左手はしっかりマスクを持ってフィッティングできていますが、右が甘くなりがちです。しっかり横にバックを持ってくる工夫が必要です。手で押さえきれず密着が悪い場合はあごでマスクの上から押さえて補助します。

    ふたり法というのもご紹介します。ひとりがCとEの形で両手を使ってマスクをホールディングします。もうひとりが換気をします。これならば手が小さい方でも不慣れな方でもマスクフィッティングが行えますし、しっかり換気を送れます。このとき、患者さんが心肺停止状態ではなく、低酸素血症で暴れているとか顔をブンブン動かしていても、しっかりマスクを密着させて高濃度の酸素を投与できます。
  • 実際の急変時の場面はバックバルブを強く押してしまうことがあります。強く押すと800CCくらい深く送気してしまい、あまりよくないとのことですが、具体的にどのような障害がおこってしまいますか。
    胸腔内圧が上りすぎてしまうと静脈環流が悪くなります。その結果、心臓に戻る血液が少なくなり、出す方に関しても胸腔内圧が高いため抵抗が加わってしまいます。まずは心肺蘇生、胸骨圧迫マッサージが有効に働かない、自己心拍再開が悪くなるという障害があります。
  • AEDの使用の注意点で、身体にピアスをつけていらっしゃる患者さんの場合、金属を取り除かなければならないという項目がありますが、おへそなどボディピアスがある方はどうしたら良いでしょう。
    パッドの電流が流れる部分と別の場所に金属があるというのは、さほど取り除く必要はありません。パッドに触れる場合は取り除かなければならないですが、触れていなければできるだけ離せば大丈夫です。
  • 水分をふき取るという項目がありますが、真夏など全身に汗をかいている場合などはどうでしょうか。
    パッドの密着が悪くなりますので、前胸部の汗がある場合はふき取る必要があると思います。
  • AEDの使い方について、胸毛のある患者さんには除毛するという項目があるのですが、実際に現場ではどうでしょうか。
    アメリカのものでは中に剃刀が入っているものもありましたが、日本製のものではそういうものは見たことがありません。しかし、除細動にはパッドが2枚入っていますので、1枚の粘着部で脱毛する、もう1枚を脱毛したところに貼って使用するという方法があります。
  • 急変に遭遇して対応するのですが、実際に自分たちがした処置が正しかったのか、検証する方法はありますでしょうか。
    事後検証は常日頃からやらなければならないですが、AEDを使用した場合はメモリの波形、胸骨圧迫を行われたのか、叙作移動を打たれた時間、音声などの記録が残っていますので、そういったものを事後検証に役立てれば良いかと思います。