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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第17回 がん化学療法の基本的ルール [基礎]

日本看護協会神戸研修センター 教育研修部長
足利 幸乃

ライブ研修 12月7日(水)/ オンデマンド研修 12月12日(月)〜1月2日(月)

がん化学療法で用いられる薬(抗がん薬)は、治療域が狭く、細胞毒性をもっている。また、発がん性や変異原性をもつ薬、血管外に漏出した場合に組織壊死をおこす薬もある。このため、Personal Protective Equipment(PPE)を適切に使用し、正確、かつ、安全に投与管理を行う必要がある。DIV、IVプッシュにおける注意点を中心に、抗がん薬の投与管理の基本的ルールとそのルールにもとづいた手技について説明する。また、抗がん薬による嘔気・嘔吐を例にとって、がん化学療法における看護の役割と実際を解説する。

発信会場:会場:神戸徳洲会病院(兵庫県神戸市)

第17回 がん化学療法の基本的ルール [基礎]

質疑応答

  • 最近、化学療法でがんを小さくしてから手術をするケースが増えているのですが、今の流れなのでしょうか。
    化学療法でがんを小さくしてから手術ができるのは、化学療法が効くがんに限られます。乳がんは、そのよい例です。化学療法によって腫瘍が縮小する、リンパ節転移が画像上見えなくなる等の効果がみられれば、ダウンサイジングとなります。がんと診断された時点でのがん細胞数より、がん細胞数を減らしてゆき、がん細胞数が減った状態で手術によって切除するという治療です。乳がんの場合、ダウンサイジングを期待できる効果のあるレジメがいくつかあります。しかし、化学療法を行ってもがん細胞数が治療上必要なレベルにまで減っていかないがんもあります。このようながんでは、手術前に化学療法を行うことは時間の無駄ですし、すぐに手術をしましょうということになります。手術前に化学療法を行って手術をするがんとそうでないがんがあることを理解していただければと思います。
  • 訪問看護をやっているのですが、治療耐用性についての質問です。病院の外来で抗がん剤治療を受けて、自宅に帰って来られ、その看護に携わっています。中には寝たきりの方とか、言語的なコミュニケーションの取れない方などもおられますが、その方達の耐用性の観察をする場合には別の指標があるのか、もしくは観察のポイントを教えて下さい。
    抗悪性腫瘍薬には、副作用が強くでない薬もあります。PSが3くらいの方でも、抗悪性腫瘍薬を投与しなければがん細胞数が増え続けるところを、副作用が少ない薬を使ってがん細胞数が増えないように押さえる、つまり、がんのコントロール目的で治療をする場合があります。そういった時に化学療法前のPSと、化学療法中のPSを比較して、PSが低下していないかどうかを観察します。この場合、stable diseaseを狙っていますので、PSも治療前と開始後に同じくらいの状態だったら良いだろうという考え方をする場合があります。ある程度がんをコントロールすることによって、例えば大腸がんだったら、がんが大きくなったら食べられなくなるのだけど、今は食べられるし、排便にも大きな問題はないということであれば、今の状態をなるべく長く保つことが治療の目的となります。ECOGのPSは、0~4ですが、同じPS3だとしても、PS2に近い3とPS4に近い3では違います。看護は、そこを見ることができます。治療の間に同じPS3なのだけれど、PS4に近くなってきていたら、PSが低下しているのですが、まだこの治療を続けるのですかというような話し合いが可能になるかと思います。本日お話ししましたECOGのPSは0~4という分類ですが、カルノフスキー・スコアは、0から10、20と10づつあがっていき、正常が100というスコアですので、0~4という5段階分類よりも細かい変化を数値化できます。PSを客観的な数値で細かく見たい場合は、カルノフスキー・スコアを用いるとよいと思います。