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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第22回 フィジカルアセスメントの実際 [応用]

名古屋大学医学部基礎看護学講座 教授
山内 豊明

ライブ研修 2月15日(水)/ オンデマンド研修 2月20日(月)〜3月12日(月)

本講座では、フィジカルアセスメント技術がどのように活用されるかについて学習する。フィジカルアセスメントを進めるにあたって決して忘れてはならないこととは『手段が目的化されてはならい』ということである。技術は目的を果たすために用いられるものであって、技術を使ったからどうなるのかという考え方では何も明らかに出来ない。本講座ではこの大原則に基づき、フィジカルアセスメントの応用について学習を深めていく。

発信会場:発信会場:聖霊病院(愛知県名古屋市)

第22回 フィジカルアセスメントの実際 [応用]

質疑応答

  • ベッドサイドで聴診をさせていただくことが多いのですが、聴診器を当てて腸蠕動音の回数をどのくらい測れば良いのかなど、基本的なことを数えてください。
    腸蠕動音はどこからどこまでかという明確な定義がないため、ググッ、ググググッという音をそれが何回だったかと数えるというのに、数え方の基準がありません。そもそも腸蠕動音の1回がどこからはじまってどこで終わるかという決まりを作れないため、回数を数えること自体が不可能なことなのです。

     本を見ると1分間に5回~15回くらいという記述もあったりしますが、どうやって数えるかはどこにも書いていません。つまり腸蠕動音は数えられないものなので、音がしたかしなかったかで評価するしかなく、回数が多かったか少なかったかという重み付けはできません。
  • 腸蠕動音はどの位置で、何箇所くらいを聴取すべきでしょうか?
    実はそれもどこで聴取するかという決まりはありません。肺は右と左に分かれていて、右は上葉・中葉・下葉左は上葉・下葉と小袋が寄せ集まった構造となっていますが、お腹は大きな1つの袋です。これが肺と大きく違うところです。  例えば右の上腹部に聴診器を当てたら大きな音がしたから、その真下が動いているかというと、音を立てているのは左の下腹部かもしれません。例えばお腹を4カ所聴くという参考書などありますが、4カ所聴いて一番大きな音がしている所が動いているかというとそういうわけでもありません。4カ所同時に聴いてどこが一番大きかったか?というやり方をすれば、一番大きかった所が音源に近いと思います。

     呼吸音や心音のように繰り返し音がするようなものだったら、行ったり来たりしながら比べることができますが、腸蠕動音は偶発的な音であり、呼吸音や心音にように規則的ではありません。ここに聴診器を当てた時は音が大きかった、ここに聴診器を当てたら小さかった、ここは音がしなかったといっても、だからといって大きかった場所が音源とは限らず、当てた時が違う時なので、違う時の結果を寄せ集めて、だからここがよく動いていますという理屈にはならないのです。

     従って、何箇所で聴診しても腸蠕動音としての評価には違いは見出せません。結論として、腸蠕動音の聴診は1カ所すれば十分です。複数カ所聴いても複数回聴いたという意味にはなりますが、お腹が元々1つの大きな袋であるため、4カ所聴いても4カ所別々になっているわけではないと気づきます。
     当たり前にやっていることこそ、何をやっているのか考えてみると、贅肉の落ちたアセスメントになります。