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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第20回 がん看護におけるリンパ浮腫ケア

千葉大学大学院看護学研究科 成人看護学教育研究分野 准教授
増島 麻里子

ライブ研修 1月23日(水)/ オンデマンド研修 1月28日(月)〜2月25日(月)

リンパ浮腫ケアは、日本の看護においてまだ新しい領域です。看護師はベッドサイドで浮腫のある患者に接する機会がたくさんありますが、どのようにアセスメントしケアにつなげていけばよいでしょうか。今回は、リンパ浮腫の基礎知識を振り返りながら、がん看護におけるリンパ浮腫ケアの位置づけ、がんの病態に特有なリンパ浮腫のアセスメント、リンパ浮腫が生じた患者の理解と基本的なリンパ浮腫ケアについてお話しします。

発信会場:発信会場:柏厚生総合病院(千葉県柏市)

第20回 がん看護におけるリンパ浮腫ケア

■ 第20回研修レジュメを準備しました。ご契約施設担当者の方は、事務局からのメールに記載のページよりPDF資料をダウンロードして下さい。

質疑応答

  • 浮腫があり皮膚が脆弱な方の下肢、足背のリンパマッサージの方法についてどのような方法が効果的でしょうか。
    皮膚が脆弱な方の下肢のドレナージをどうしたらいいかといった質問は結構よく聞かれますので、重要なポイントかと思います。基本的に考えるとドレナージは皮膚をずらすことになるので、脆弱なところにドレナージの刺激を与えるのはメリットよりデメリットの方が大きいため、皮膚が脆弱な場合にはその部位には触れないということが原則となります。代替する方法としては、下肢には触れず、リンパドレナージをする時に他の所属リンパ節に流すことになります。一番始めにドレナージの方向付けをしますが、下肢の場合だと両腋窩を刺激して鼠径部から腋窩への流れをつくるということになります。この部分の流れをつくると吸引力が働きますので、劇的に引くことはないのですが少し下肢の緊満感が楽になることが考えられます。原則は脆弱な皮膚の部分には触れずに他の部位、健康なところを使ってやっていくということになります。
    ただ、その前にきちんとアセスメントをすることが必要になってきますが、皮膚が脆弱で浮腫が出ているという場合にはかなり進行しているがんということが考えられます。浮腫の原因が、リンパ浮腫なのか全身性の浮腫なのかということを考えて触ることが重要で、水分を移動させたら心負荷がかかってしまい呼吸困難になったという患者さんの例もあります。
    その他、ドレナージではない例の紹介になりますが、下肢のむくみがひどい患者さんに、ドクター、ナースが話し合い、少し圧迫をすることにしたら体重が一日で4キロ減ったそうです。しかし、その減った水分はその方の場合ではちゃんと排泄されたので利尿効果があり、心負荷には至らなかったのですが、排尿にともなって大切な電解質も失われ、電解質バランスがくずれて一時的なせん妄になったという事例もあります。むくみを軽減することを考えるのも方法の1つですが、その原因を考えて、本当に水分を移動させてもよいか、メリットとデメリットを考え合わせて対応していくことが大切です。
  • 下肢の浮腫の場合について弾性着衣の紹介をしていただきましたが、術前の心部静脈血栓症の予防のために用いる弾性ストッキングを代用しても構わないのでしょうか。
    術後の浮腫予防に術前に用いた弾性ストッキングで代用はどうかというご質問ですね。静脈血栓症の予防のための弾性着衣は、膝下の圧しか考えられていないので、リンパ浮腫の予防のために膝下だけのストッキングやハイソックスタイプのものを履くと、流れを良くするというよりも逆に締め付けてしまい、膝下のむくみがむしろ強くなってしまうことも考えられます。リンパ浮腫の場合は、膝下だけを締め付けるものは基本的には使わないということと、血栓予防のものは着圧なども違ってきますので用いないということが原則になります。