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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第9回 看護必要度の監査と記録

山梨県立大学看護学部教授
田中 彰子 氏

ライブ研修 8月7日(水)/ オンデマンド研修 8月12日(月)〜9月9日(月)

少子高齢社会、医療の高度化を背景に、患者のニーズの拡大に対し、限りある人材をいかに有効に配分するかが求められている。看護必要度は患者に必要とされるケアの量を推定するシステムであるが、診療報酬改定毎に拡大されてきており、現場では患者の状態を的確に評価し、記録管理することが重要である。
看護必要度評価の精度を保つには、評価者教育と記録監査が欠かせない。監査のための組織体制、監査システムの運用、そして、評価の根拠を示す記録はどのようにあればよいのか、そのための効果的な教育方法はあるのか。既に取り組みが定着している施設もあれば、監査や記録はこれからというところもあり、施設間差が拡がっているとの見方もある。外部評価に応えるためにも、院内研修のさらなる充実と評価精度を上げることがのぞまれる。また、看護必要度の評価の根拠を示すものは記録であり、監査の対象となるのも記録である。本研修では、看護必要度の監査のあり方とともに、専門職として看護実践をいかに記録すべきか、演習により具体的に学ぶこととする。

発信会場:発信会場:富士吉田市立病院(山梨県富士吉田市)

第9回 看護必要度の監査と記録

■ 第9回研修レジュメを準備しました。ご契約施設担当者の方は、事務局からのメールに記載のページよりPDF資料をダウンロードして下さい。

質疑応答

  • 日々私たちも記録を書く中で、必要度の記録をどのように書くか悩みながら行っている最中ですが、A項目の記録は対応表に項目を記載して、ある程度レ点チェックをしてその中に書かれたものを記録として取っています。B項目に関しては日常生活援助という形でくくって一日の流れをまとめたものを記載しています。講義の演習でやったようなサマリー形式ではないのですが、このような形でも大丈夫でしょうか。
    添付資料の電子カルテの看護記録を見て、A項目に関しては、数値を書くことと「行った」という事実が読み取れること、そして、例えば包帯交換やガーゼの交換というものはただチェックするだけではなく、その結果や観察した事実がどうだったのかについても書くようにした方がいいと思います。
    例として心電図モニターのモニタリングについて、波形を貼ってあればいいのですか?という質問がよくありますが、看護の記録としてはただ貼ってあるだけではそれだけのことでしかないと思いますし、チェックについても同じだと思います。結局それをアセスメントして看護者として専門的な眼でみていたという証拠になるような記録が必要です。ですからA項目はチェックすることが全てではないと思います。
    B項目に関しては一番まずいのは、チェックだけでの記録です。見せて頂いた看護記録に表されているのはチェックではなくて項目ごとの記述になっていますのでチェックとは違いますが、項目ごとに書くことが独立しているという形になり、患者さんの総体としての記録にはなっていないと思います。
    記録の根拠として理由や結果が書かれているものであれば読み取れなくはないと思いますが、相互の関連性はよく分からないと思います。今日の演習のところで評価をできないと判断した際その横にメモしてくださいと言いましたが、項目ごとに書くということはそのメモと同じことになると思います。備忘録的な形のものはレポートとしてはちょっと違うと思いますので、もう少し改善できるのではないかと思います。
  • 記録について質問です。当院は7月から電子カルテを導入し、評価表チェックをする際、テンプレート作成しチェックするようにしていますが、記録としてみなされますか? もしくはテンプレートをなくし、直接コメント入力するようにすれば可能でしょうか?
    テンプレートとはひな型の意味ですが、看護記録については、最近、電子カルテの導入を契機に、ワード単位のものや文節単位のひな型が、業界との共同開発されているのを見かけます。これは、記録者が記録しやすいように記録のプロセスをサポートしているに過ぎません。問題は、記録者がその手段を使い、個々の患者の状態やアセスメントの記録を残しているか、患者の特徴や行った看護実践が個別的に書かれているかということです。往々にしてどの患者も同じ記録になることが多いようですので注意が必要です。
  • 監査表について質問です。どのくらいの頻度で何人の監査をすべきでしょうか。また、監査表にも保管が必要でしょうか。
    監査の頻度や監査者の人数について、エビデンスがありませんので、分かりません。ただ、評価者全員の記録が最終的に監査される方向で検討するのが良いでしょう。監査表の保管を義務付けるものはありませんので、部内で取り決め、第三者評価に備えておくのが良いと思います。
  • 看護実践の記録について質問です。急性期の患者の記録は記述式が良いと思うのですが、慢性期となり、連日同様の処置をしている方の記録は「計画に基づき施行」(レ点のチェックあり)という記載だけではダメなのでしょうか。
    急性期の状態が落ち着いたならば、本来療養型病床や施設、在宅へと移行すべきですが、やむを得ず入院を継続されている場合があります。このような状態の患者は、転病床や在宅に向けての努力が必要なのは言うまでもありませんが、入院している限り記録は必要です。また、レ点チェックは記録ではありませんので注意してください。
  • 入院基本料に係る看護記録の所に「病状安定期においては温度表等に記載欄を設け、その要点を記録する程度でよい」とありますが安定期とはだれが判断し、どのような定義なのでしょうか。勤務する病院は療養病棟は看護必要度の記載義務がないので疑問に思いました。
    病状安定期の定義については、厚労省社会保険局(社会保険事務所)へお尋ねください。また、療養病床についても入院基本料の対象ですので、看護必要度とは関係なく、この義務については同じです。