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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第6回 医学的意味と倫理的判断 〜延命医療について考える

東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター 特任准教授
会田 薫子 氏

STAGE1〜4

ライブ研修 6月18日(水)/ オンデマンド研修 6月23日(月)〜7月21日(月)

臨床現場で倫理的な意思決定に至ろうとする際に必要なのは、倫理的な姿勢と適切な状況判断です。医療者が臨床で倫理的であろうとする際の要諦は、患者さんにとっての最善を実現しようとする姿勢にあります。患者さんにとっての最善を実現するために、標準的な医学的適応の意味を本人の人生にとっての最善の実現という観点で捉えなおすことが必要となります。例えば、胃ろう栄養法や人工呼吸管理によって生存期間の延長効果が認められる場合でも、それをどのように評価するかは、患者さんとご家族らの価値観・人生観・死生観に大いに関係します。病態生理学的な延命効果が本人の益を意味するとは必ずしもいえないのです。医学的な効果の意味を本人の視点で捉えること、すなわち「本人の満足」を中心に考えることが必要です。その際のアプローチとして、「生命の二重性」理論(清水)をもとに考えてみましょう。

発信会場:発信会場:脳血管研究所 美原記念病院(群馬県伊勢崎市)

第6回 医学的意味と倫理的判断 〜延命医療について考える

質疑応答

  • 患者さんご本人の意思と家族の意思が一致しない場合はどうしたらよいでしょうか?
    医療現場でこのような問題は少なくないと思います。患者の意思は可能な限り尊重されるべきではありますが、即座にその決定をするのではなく、なぜ家族が患者の意思と異なることを希望しておられるのか、その理由を理解しようとしてコミュニケーションを取る必要がでてきます。家族の事情のなかには、社会資源の活用によって部分的にでも解決可能な問題がある可能性が少なくありません。例えばMSWや地域包括支援センターにご相談し、介入してもらうことによって問題が軽減されれば、治療やケアの選択肢にも工夫の余地がでてきます。実は一般の方というのは介護保険制度のこともよくわかっておらず、どのような具体的な援助が得られるのかなど知らないこともありますので、負担感のことがご心配だったり、申請の仕方もわからなかったりします。家族内に病人がでれば家族の生活は大なり小なり影響を受けますので、医療とケアの方針決定の際には家族の意思もそれなりに尊重されるべきです。家族への支援は患者の療養生活の質を左右しますので、患者の意思とともに、家族の意思も尊重しようとする姿勢と判断・行動が重要です。 この種の問題に限らず、ジレンマが発生した場合の基本的な考え方は、「どちらかを優先」するのではなく、「どちらも満たせる道はないか」と思案することが倫理的と思います。折り合いのつけられるところを話し合いをし、創意工夫をしていただくのが現場の医療者の大事な役割です。チームで様々な選択肢からより良い答えを見いだして行ければと思います。