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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第19回 家族を支援する看護 急性期における家族ケアのポイント

山口大学大学院医学系研究科 急性・重症患者看護専門看護師
立野 淳子 氏

STAGE1〜2

ライブ研修 1月7日(水)/ オンデマンド研修 1月13日(火)〜2月10日(火)

急性期看護では、患者の早期回復をめざし、治療が安全かつ効果的に進むように環境を整えることや、治療の介助に重点が置かれますが、近年では、患者と同様に不安を抱える家族へのケアにも目が向けられるようになりました。
この講義では、クリティカルな状態にある患者の家族の心理的特徴を説明した後、家族ケアの視点として、家族ニーズの捉え方や充足のためのケア、家族とのコミュニケーション促進のためのスキルなどについて解説します。また、家族ケアに困難さを抱きやすい終末期の場面における家族の意思決定支援のための看護についても触れたいと思います。

発信会場:発信会場:平成紫川会小倉記念病院(福岡県北九州市)

第19回 家族を支援する看護 急性期における家族ケアのポイント

質疑応答

  • 日常に私達が直面する家族ケアの場面は様々で、ケースバイケースだとは思うのですが、 理論やスキルを身に付けつつも実際にそういった家族ケアをどう現場で活用されているのでしょうか。 例えば患者さんのご家族の不安を聞き出すという点では、どのようなコミュニケーションを取っているのでしょうか。
    ケースバイケースになりますので、ひとりとして同じ背景はないと思っています。その上で今お話をしているご家族がどのような心理状態にあって、何を話しているのか、その場その場での状況認識がとても大事だと思います。 今どのような状況にあるのか、どんなニードなのか、どのような心理状態なのか、それは何故なのかを知る時に逐一状況判断をしていかなければいけません。これはノンテクニカルなスキルになってくると思いますが、やはりトレーニングが必要な部分が多いかと思います。 様々な状況がある中で、今どういう状況なのか私自身も分からない時があります。常に今どういう状況なのか、この方は何を話しているのか、私は何を理解しているのかということを判断しながら聞くトレーニングを重ねているというのが現状です。 このことは理論を知っただけではなかなか難しいですし、状況認識をしたことによって今この人に介入が必要なのかそうじゃないかということを見極めて、介入の方向性を検討していくということを常にやっています。 あくまでも最初にお会いする時には白紙の状況なので、まずは自分が知ろうという気持ちでその時その時の状況の中で判断してチームで共有していくことが大事です。
  • 実際に意思決定支援をしたいのですが、職種間に意見の相違があるとドクターの意思や意見に引っ張られてしまい、看護師や患者さんのご家族の思いと少し相違がある場合がありがちです。そんな時に患者さんのご家族のケアをどのように実践していけば良いでしょうか。
    意思決定を支援していく中で、医師はこう言っている、ナースはこう思う、ご家族はこう思っていらっしゃる様だ、といった意向の相違、対立が起こることは往々にしてあります。医師の意見に引っ張られてしまうことも少なくないと思うのですが、そこを解決していくためには、自分の思っていることやご家族に対して自分が日々感じていることとは違うと、まず声に出すことから始めなければならないと思います。その声をしっかり受け取ってくれる人がいてリアルタイムな介入が出来るということがまず一点になります。 もう1つは私が思っていることですが、相手が思っている事も正しい、私が思う事も間違いではない、といったように相手の意見を受け止めてみる意識がなければ、その先には繋がりません。「それは違います」と否定的にいってしまうと、どうしてもその先のコミュニケーションにはいかないことがあると思います。 何が最善かを考えていくためには、協調的なプロセス、建設的なコミュニケーションのプロセスを取っていかなければいけません。「協調的」という言葉の反対語は「競合的」になると思いますが、強剛的とは「自分が正しく相手は間違っているので自分の意見を強引に通す」となります。短期的には問題は解決するかもしれませんがしこりを残してしまいます。また長期的に見た時にはお互いの関係に溝が深まっていきます。そうではなく、私の言っていることも一理ありますよね、相手の言っていることもそうだよねと、それぞれの意見を肯定した上で何が最善であるのか、次の新しいアイディアを見付けていかなくてはなりません。 そこで活用していただきたいのが皆さんの院内におられるリソースナースだと思います。 専門看護師、認定看護師は、新しいアイディアや自分の知識にないことであれば調べるという術を持っているはずです。どの辺が落としどころになるかという建設的なプロセスを経ていくためにリソースナースを活用していただきたいと思います。 もし施設にリソースナースがいない場合は、私の言っていることも一理ある、相手の言っていることもそうだよね、とそれぞれの意見を肯定した上で、何が最善かについて話し合う場、カンファレンスをもってほしいと思います。カンファレンスは、他者の考えや価値観を否定せず、建設的に進めることが重要です。 対立関係にいるのではなく、協調的に多決案、代替案を見付けていきましょう。