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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第3回 看護研究のプロセス~日頃の疑問の根拠を探究する

上武大学看護学部看護学科教授
千明 政好 氏

看護研究 STAGE1〜2

ライブ研修 5月10日(水)/ オンデマンド研修 5月15日(月)〜6月12日(月)

「看護研究は楽しい!」という方はいらっしゃいますか。その方々には、この講義は不要かもしれません。今回は、「臨床で働きながら看護研究に取り組みたい。けれどどう取り組めば良いか知識があいまいなので、もう一度学びたい」という方向けの看護研究入門の内容です。日々臨床で働いている皆さん、看護研究という視点でみると、目からうろこ、研究テーマがたくさん転がっています。①研究テーマを見つけよう、②私の研究のオリジナルは何かを明確にしよう、③先行研究を調べ活用しよう、④研究計画書を書こう、⑤看護研究実施における倫理的配慮を守ろう、これらを中心に具体例を提示しつ「テーマが見えた!看護研究してみよう」と思っていただけるよう、やさしい内容で進めます。

発信会場:美原記念病院(群馬県伊勢崎市)

第3回 看護研究のプロセス~日頃の疑問の根拠を探究する

質疑応答

  • 私は専門看護師をしておりまして、大学院で私もこういった研究を行ってきました。院内ではこういった研究を指導していく立場にはあるのですけれど、講義の中にもありましたように、なかなか現場でスタッフとして業務をこなしている中で時間の確保などが困難で、なかなか取り組みにくい面があります。困難に対する克服法ということでいくつか挙げて頂きましたが、先生のご経験から困難を克服するための第一歩として有効な方法がありましたらもう少し具体的に教えて頂けますか。
    私の経験から言いますと、私が就職した救命救急センターと言いますのは、スタッフ全員がいくつかの研究グループに分けられていました。2年目ぐらいになりますと、学会の地方会などで発表するように言われていまして、先輩たちのいろいろな研究の打ち合わせなどに加わりながら、文献を集めたり文献を読んだり、研究計画書を見せてもらったり、発表原稿を見せてもらったりプレゼン資料を作ったりしました。ただし、積極的に1年目から参加したわけではなく、忙しい仕事の中で、休みの日に参加したり、夜勤明けの時に誘われて参加したこともありましたが、そういった風土がありましたので、やらされ研究ではありましたが、発表を1つ終えると達成感がすごくありました。そうすると次どうしようかと気づきますし、次に一緒に発表する人たちのサポートをしたり、アドバイスをするくらいになってきますと、もっと楽しくなってきます。そのようにまず風土を作るというのが大事かと思います。

    忙しくない病院というのはないと思います。その中でどうやっていくか、学生にもよく話しているのですけれども、仕事と家の往復だけをしていると今年何を行ったか振り返った時、何も残らないです。何か資格を取ったり、大きな旅行に行ったり、研究発表したというのは何十年しても結構残るものです。そういう自分の足跡を作るという意味でも、実績にもなりますし自信にもなります。大変ですが自分にたくさん返ってくるものですので、取り組むといいと思います。忙しいからという理由でやらないのは簡単なのですが、何も残りません。
  • 先生のお話を聞きまして、仮説に基づいて研究計画書を立てるといった段階を踏むのが一番理想かと思いましたが、臨床の現場ですといくつかの事例で振り返ってみまして、こういうことが効果的だったとか、数値で出ている場合は、これらの母数からこういうことが読み取れるといった、結果に基づいて振り返るということがあります。そういったことを研究でまとめたい場合の倫理的配慮という点でどんなことを考えたらいいのか教えて下さい。
    データの出所になると思います。カルテであればカルテから取る時に、院内の倫理基準があると思いますが、おそらく入院されると患者様のデータを研究に使わせて頂くことがありますと包括的な同意書を頂いていることが多いです。そういった場合は院内の倫理審査を通せば、色々なデータを活用することは可能です。ただし、個人が特定されないような配慮は必要です。特に珍しい病気などですと、個人を伏せたとしても病名とかケアの内容や治療の内容で分かってしまうこともあります。その時はその方個人の了解を得ることが必要かも知れません。ほとんどの場合は包括的同意を取っていると思いますので、倫理審査を通せば、過去のデータを使うということは十分可能かと思います。
  • 看護は可視化するのがとても難しいという点で、尺度を使っていきたいと思うのですが、そういった尺度を文献検索で見つけていった際に、それが本当に適切かどうかを考えていくにはどのようにしたらいいか教えて頂けますか。
    そのテーマに関して精通している人のアドバイスをもらうというのが1つです。自分でその尺度しかないのか考察し、その尺度にしましても妥当性など十分に検証されているものを使わなければいけないですし、また公にされている尺度でも勝手に使っていいわけではありませんので、その開発者の同意を得るというのが倫理上必須になってきます。そういった手続きを通して使って頂ければ問題ないと思います。その尺度が本当に適しているかどうかというのは、その分野の専門家のどなたかに指導を受ける方がいいと思います。