講義数が多くカテゴリーも複数あることが、本研修の大きな魅力です。スタッフが各講義の全体像を確認できるよう工夫し、教育の場で効果的に活用しています。
Q1: 導入のきっかけを教えてください
京都民医連は医療(急性期から在宅)、介護、教育など幅広いフィールドで事業を展開する法人グループです。当グループでは、従来、卒後3年目までの教育を統一ステップで行ってきましたが、中堅以降の系統的な育成システムがありませんでした。そこで、京都民医連看護部は、2021年に法人グループ全体の統一ラダーシステムを導入すべくラダー委員会を設置し、2023年には「京都民医連看護師キャリア開発ラダーシステム(以下、KMラダー)」の策定と導入に至りました。折しもその時期、S-QUEクリニカルラダー別研修(以下、本研修)のリリース情報が舞い込み、それをKMラダーに組み込むことになりました。
Q2: どのように利用していますか?
KMラダーの中に本研修の受講を位置づけています。各ラダーに応じて必須講義・推奨講義を設定し、その受講が認定審査要件の一部になるという位置づけです。また、いくつかの講義は集合教育としても活用しています。これにより、ラダー制度と本研修の連動については軌道に乗りつつあります。
次に最近の課題についてお話しします。本研修は複数のカテゴリーを有し講義数も多い点が魅力の一つですが、スタッフが講義の全体像を把握しきれていないという実情がありました。そこで、2025年からは講義一覧を掲載した大判ポスターを全部署に貼り出すようにしました。アナログな方法ですが、講義の全体を俯瞰するには良い方法です。辞典の目次のように、全体像を見ながら自分の興味・関心を確認できる点が良いです。スタッフ同士が共にポスターを眺めながら感想を交わしてくれたりすれば嬉しいですね。
Q3: 今後の期待、展望などについてお聞かせください
これまでは、本研修を事業所全体に共通する教育ツールとして捉えてきましたが、今後は部署単位での活用も掘り下げて考えたいと思います。例えば、糖尿病の患者を多く受け入れる部署なら、糖尿病関連の講義は日々の実践に直結するはずです。まずは、各部署にとってマストとなる講義を一つ選択し、その受講を時間保障することで、講義と実践の連動を強く実感できるようにしたいと考えています。そのような連動の実感は、個人にとどまらず部署としての共有事項・共通言語として認識され、きっと今まで以上に本研修を身近に感じるでしょう。また、その体験が個人レベルの学習をさらに促進してくれるのではないか。そのようなことを考えています。