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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第14回 エビデンスに基づいた実践とはどのようなものかを知ろう

聖路加看護大学
卯野木 健

ライブ研修 10月20日(水)/ オンデマンド研修 10月25日(月)〜11月15日(月)

Evidence-basedというと堅苦しいように感じますが、それほど難しいことではありません。看護実践を行う上で、私たちは意識下、無意識下に様々な判断を行っています。Evidence-basedは、その判断を助けるものであり、考え方です。また、同時にEvidence-basedはエビデンス至上主義でもありません。本講義では「エビデンス」とは何か?「エビデンスに基づいた実践」とはどういうものか? エビデンスを臨床に活かすためにはどのようにしたらよいか?に関してお話しします。

発信会場:発信会場:聖路加看護大学 看護実践開発研究センター(東京都中央区)

第14回 エビデンスに基づいた実践とはどのようなものかを知ろう

質疑応答

  • エビデンスの考え方、臨床適用について質問です。例えば閉鎖式吸引システムと開放式吸引システムに関して人工呼吸器関連肺炎の発生率の差がなかったと文献で読んだのですが、それならばコストを考えて開放式吸引システムを使った方が良いということになるのかなと思ったのですが、臨床ではどのように考えていけば良いか教えて下さい。
    閉鎖式吸引が元々導入された経緯からお話すれば、閉鎖式吸引では吸引毎に回路を開放する必要がないので、肺炎になる率が下がるのではないかと言われていたのです。しかし、今のお話のように肺炎というアウトカムでは差はありません。しかし、それを最終的に実践に活かす時には、色々な角度から考えなければなりません。コストもひとつですし、吸引中の酸素化が悪化しないとうこともあります。さらに、ナースの「手間」の問題もあります。ですから「肺炎」というアウトカム以外に、その他のことに関しても多角的に考えていって、最終的にどうするかを決めるというのが大事だと思います。多くの施設では閉鎖的吸引を使う傾向にありますが、おそらくそれは肺炎だけの話ではなく、使いやすいとか、1回1回吸引チューブを捨てていたらゴミがすごいとか、吸引中の酸素化の悪化を防げるなど、色々な要素での判断だと思います。また、病院によって何を基準にどのような患者さんを対象にしているかということでも変わってきます。
  • 実際に働いて色々なケアを行っていく中で、経験の長い先輩のケアへのアドバイスや意見がかなりあると思うのですが、それはエビデンスとして考えて良いのか、どういう風に行って行けばよいでしょうか。
    臨床で出会う「困ったこと」の多くは、ここで紹介したようなガイドラインに書いてあるようなことは少ないと思います。Evidence based というのはRCTとかメタアナリシスとか、そういうのにだけ基づいてと言っているわけはありません。高いレベルでの研究データがないのであれば、ベテランの方の経験もとても大事だし、それらを一つ一つ積み上げていくことによって、エビデンスに近づいていくということもあると思います。権威者の意見はエビデンスではないと言われることも多いのですが、そうではなくて、エビデンスレベルとしては相対的に低くなる、ということだと思います。なので、系統的な研究がない状況では、「現在入手可能な根拠」としてベテランの人の意見というのも聞く価値のあるものだと思います。