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Eナース
S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第6回 安全な呼吸ケア(1)
社団法人日本看護協会看護研修学校 集中ケア学科
中田 諭
ライブ研修 6月18日(水)/ オンデマンド研修 6月20日(金)〜7月4日(金)
呼吸管理、中でも人工呼吸療法に関する事故は、わずか数分で患者を死に至らしめる重大な事態につながります。そして、医療事故はいまや注意喚起や現場努力だけでは防ぎ得ない状況にあるとも言えます。
このような状況の中で私たち看護師はどのようにすれば患者の安全を確保できるのでしょうか。
ここでは人工呼吸療法に関連した問題点と事故予防の観点から、看護師が理解しておくべき安全な呼吸管理について解説します。
発信会場:発信会場:医療法人蒼生会楠本病院(広島県福山市)
質疑応答
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- 当院では加温加湿器を使用しているのですが、人工鼻の使用と比較した場合、どちらが安全と考えられますか?
- 安全かどうかというだけで加温加湿器にするか人工鼻にするのかは決められないと思います。もちろん安全性だけを考えれば、物理的に電源が必要だったり、設定が必要、水を入れなければならないなど考えると、加温加湿器の方がリスクは高いです。しかし、加温加湿の性能をみれば加温加湿に利があります。
術後1日だけの人工呼吸管理で、特に呼吸機能も問題ない、そして分泌物そのものも十分出せるような状況であれば、人工鼻で何も問題はないと思います。人工鼻にするか、加温加湿器にするかは、状況に応じて、変えていくのも良いでしょう。たとえば1日以上使うとか、2日以上なら加温加湿器を使うとか、重症な患者さんなら必ず加温加湿器を使うとか決めて、そういう基準を設けるのです。呼吸器系に何も問題のない患者さんならば加温加湿器の代わりに人工鼻を使っても、痰がたまって出てこないなどの問題はありません。
しかし、血性の分泌物があるとか、分泌物が多量であるとか、気管チューブのリークがある場合などは、逆にエラーをおこす場合があります。人工鼻にも禁忌がありますから、禁忌例を確認して加温加湿器を使う必要があります。
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- 回路のトラブルが多いというのは、日頃から感じています。回路を替える頻度が多いとリスクが上るということで、ディスポ化されている現状がほとんどだと思いますが、ひとりの患者さんに必要なくなるまで替えないほうが良いというのを聞いたことがあります。実際は分泌物の問題などがあったり、替えずに続けるのは難しいと思います。当院では蛇管など交換しているのですが、その辺の差などを教えていただけますでしょうか。
- 人工呼吸の回路交換の頻度ですね。CDCのガイドラインでは現在48時間以内に交換するとリスクがあがるとされています。現在よく言われているのは「人工呼吸器の回路は定期的な交換は必要がない、しかし目に見える汚れがある時には交換する」もしくは「器械の異常があった際には交換する」ということで動いていることが多いと思います。
実際には、週1回もしくは2週間に1回の頻度で交換している施設もあるでしょうが、いずれも高いエビデンスのデータはあまりないのが現状だと思います。必要なことは、感染のリンクでされているならば、サーベイランスをしていくことです。VAPの発生があるのかないのかなど、数値化して評価することだと思います。
おおむね1週間ごとに替えるというのであっても、人工鼻であれば、回路を替える必要はありませんし、人工鼻だけ定期的に交換していれば4週間でも大丈夫だと思います。また、長期の患者さんをみているところと急性期とでは考え方を変える必要があります。
院内でサーベイランスを行って、何か指標を作っていく。データを積み上げ、半年後にどうかと見ていく、そういう方法を取られるのが実際的かと思います。
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- 講義を聞いて人工呼吸器の安全への教育の重要性を実感しました。しかし、人工呼吸器の安全性についての教育ができる人材がおりません。教育できる人を育てるにはどのようにすれば良いでしょうか。
- 人材は重要です。人工呼吸器、呼吸管理というのは好きな人が多いですので、興味のある人を立てていくが良いと思います。呼吸療法認定士というのがひとつのステップで、学習を維持するモティベーションになると思いますので、そういう方を巻き込んでいくのが良いと思います。
ただ、いくら知識を持っていても、スタッフにどう伝えるか、指導して行くかの力がなければいけません。認定看護師になる方を教育している自分の立場からすれば、集中ケア学科の認定看護師の勉強には呼吸器ケアも入っています。知識だけでなく組織の中でどのように還元して行くかも学びますから、希望される方がいらっしゃればぜひチャレンジしていただき、引き上げて行っていただければ良いと思います。
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