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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第15回 看護に必要なリハビリテーション

東京慈恵会医科大学附属病院
小松 由佳

ライブ研修 11月5日(水)/ オンデマンド研修 11月7日(金)〜11月21日(金)

看護界、いや医療界全体で早期離床と叫ばれ、随分と時が経過しました。この間、医療技術は目ざましく発展し、医療の高度化とともに患者の重症度は高まってきました。そのため早期離床と言われながらも患者は重症化し、飛躍的に離床の概念が発展してきたかと言えば、そうではないようです。また一方で、体圧分散寝具の発展などによって、従来に比べ褥瘡の発生は減少し、重症患者は寝かせたままにしているという施設も多いのではないでしょうか? 中には呼吸・循環動態の影響を避けるという名目で、安静状態が強いられている場合もあるでしょう。しかし寝たままの状態を必要とする患者は、病態stageによっても異なりますが、一時的であるなど、ごく限られた場合と考えます。「不動」もしくは「活動低下」の状態が継続すればするほど外的な刺激は少なく、生活リズムは単調化し、筋力低下に限らず判断力・認知力の低下を招いたり、患者の苦痛の増強,その他さまざまな影響を身体にもたらします。このような生活機能の不利益を廃用症候群の1つとして位置づけられ、生命は保てたとしてもQOLとは相反する不自由な生活を生きていかなくてはなりません。こうした身体機能の不活動・安静こそが諸悪の根源といえ、依然として大きな社会問題となっています。
今回の講義では、看護師がいかにして患者の可能性を見極め、自立を促しながら、寝たきりにさせないよう運動(リハビリテーション)を取り入れるかを大きなテーマとしてお伝えしていきたいと思います。

発信会場:発信会場:パラマウントベッド株式会社本社(東京都江東区)

第15回 看護に必要なリハビリテーション

質疑応答

  • 抗重力姿勢をいかに取るかということを日常のケアに組み込みながらやっていくことがポイントだということですが、術後の患者、救急など様々な患者さんがいる中、いつどこでリハビリテーションにかかっていくかは悩みどころです。早期回復の援助においてリハビリテーションのとりかかりは非常に重要と思いますが、「不必要な安静」を脱却し、スタートのプロセスに入る判断基準はどういうところで決めていくのか解説していただきたいです。
    早期離床をいつからはじめるかということが第一になります。早期離床は患者さんの状態が安定した時という答えをお持ちの方が多いですが、私自身は患者さんが目の前にいる時点で取りかかりは始まっていると思います。

    早期離床というのは、少しずつギャッチアップしていくことを言うのかもしれませんが、その準備段階として捉えるならば寝た状態から早期離床と考えてよいと思います。寝かせた状態から枕ひとつをどこに入れるのか、どんな風に入れるのか、それ自体が早期リハビリテーションのひとつになっていると思うのです。たとえば仰臥位にどうしてもしなければならない患者さんにおいても、そういうものを使いながら離床を考えるということになりますから、私自身は目の前に患者さんがいるということがリハビリテーションの開始時期だと思っております。循環器系などが悪い患者さんになると、心拍指導が維持できているのかどうか、考えながらできるだけ起こしていくと思っています。
    ICUにいる場合は、オペが終わった後から疾患の治療が終わって回復に向けているわけですので、20度~30度にギャッチアップした状態から早期離床への開始は始まっているという考え方で良いと思います。
  • 不動性の障害ということに関連して質問です。筋肉の萎縮筋量の低下など、先鋭化するほど回復過程に2倍~3倍の時間がかかるとのことですが、人工呼吸のウイニングに失敗すると、呼吸筋の疲労、疲弊などが取り上げられます。その背景には栄養障害があったりし、栄養障害と不動ということでの相乗効果がおき、使っていない筋肉には普段よりも酸素需要量が高まっていくと聞きます。
    栄養管理の重要性はいかがでしょうか。
    栄養が十分でない患者さんに関しては、ウイニングに失敗するととても疲労をおこします。そうするとウイニングが進まなくなったり後戻りしたりするわけで、疲労を起こすだけでなく、栄養がなければ骨も筋肉もうまく動いていかないので、とても重要な項目だと思います。