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Eナース
S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第17回 痛みを和らげるケア(緩和ケア)
筑波大学附属病院緩和ケアセンター
馬場 玲子
ライブ研修 12月3日(水)/ オンデマンド研修 12月5日(金)〜12月19日(金)
男性の2人に1人、女性の3人に1人が一生のうちに「がん」と診断されるといわれる近年、がん医療に対する一般社会の関心は高まっております。2007年4月にがん対策基本法が施行され、それに基づきがん対策基本計画が施行されるようになりました。これによって診断・治療と並行して、緩和ケアを提供することはがん医療において重要であると認識されるようになってまいりました。
講義ではがんの痛みをもつ患者への対応と緩和ケアの実際についてご紹介させていただき、患者のつらさにどう対応していったらよいのかを考えてみたいと思います。
発信会場:発信会場:関越病院(埼玉県鶴ヶ島市)
質疑応答
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- 疼痛の評価のお話で、疼痛を持つ人の表現力を高めるというものがありましたが、人によって感じ方が違うものを私たちに届くようにするために、実際にどのように意識して関わって行くとよいでしょうか。
- 私たちは痛みを尋ねるときに「痛みどうですか?」と聞きがちですが、患者さんはどうですか?と聞かれても「痛いよ」とか単語でしか返せない場面が実際にはあると思います。それですとその会話だけで終わってしまい話がなかなか広がっていきませんので、質問の仕方などに工夫が必要になってきます。たとえば痛みのある部位に一緒に触れたり、ここが痛いのですね、どんな時に痛みますか?と具体的に尋ねたり、たとえば仕事ができるかどうかとかが体調のバロメータとなりますので、日常いつも行っていることがいつも通り行えているかを聞いたり、患者さんのイメージしやすいところに話を持って行くと良いと思います。そうやって会話を進めてゆくと、患者さんがどういうふうに表現する人かというのが見えてきますので、それに応じて質問の仕方を工夫していきます。明確にどのようにという答えはありませんが、相手の表現力に合わせていくということと、曲げたら痛いですか?起きたら痛いですか?眠れますか?などと患者さんが表現しやすい言葉を使いながら、そのようにおっしゃってくださるとどんな痛みか伝わりますよと受けた言葉に対して返していくというのも結構意識しています。そうすれば患者さんは、こうやって伝えると看護婦さんに伝わるんだというのがわかっていきます。一方的に質問し、答えを受け取るのではなく、私たちの受け取った感想や思いも返しながらコミュニケーションしていくと会話も表現力も進歩しますので、ぜひ心がけてみてはどうでしょうか。
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- 病棟でのケースですが、進行性食道ガンの男性の患者さんがリンパ節転移をされていて、現在痛みの方はオキシコンチンを朝夕使い、あとはレスキューでロピオン、ボルタレンなどを使っています。入院間もないこともあって、痛みのアセスメントがまだできていない状況なので、今後今日の講義を活かそうと思っていますが、現在便秘と嘔吐の副作用がかなり強くあります。一時的にでも在宅に戻そうと目標を立てているのですが、在宅に移行するのに痛みを緩和させていく、それから副作用を最小限に抑えていくという取組で、どのように関わっていくかというのを模索しています。助言をいただければありがたいです。
- 痛みのアセスメントがまだ十分できていないということですが、お薬を実際に使っての効果が得られているのかどうか、患者さんにとっての痛み治療の評価がなされる必要がまずあると思います。もし患者さんにとって満足するまでに至っていないのであれば、お薬を調整する必要があり実際にレスキューにNSAIDsをつかっているということですので何か対策をたてる必要があると言えます。現在オキシコンチンを飲んでいるので、オピオイドで吐き気等があるから内服でのレスキューが使用できずロピオンを使用しているのかなど現在の治療法を選択した理由があると思いますが、基本的には飲めるのであればレスキューが効くタイプの痛みなのかどうか判定しオピオイドを増量するのがよいと思います。ただ、吐き気がほんとに辛くて大変な状況というのであれば、制吐剤をしっかり使ってみるのと、飲むという行為自体が刺激で吐き気が出ている状況なのか、お薬で副作用が出ているのか、両方なのかわかりませんが、経口投与以外の経路を検討する必要があります。もし点滴が入っているのであれば、必要なお薬の量を注射で決めた後に便秘の副作用の少ないデュロテップパッチに変えていくという方法もあります。パッチ製剤は量を微調整しにくいのが欠点で効果の判定が難しいので注射で量を決めた後に置き換えるという方法がよいと思います。まず今何が一番辛い症状なのかという患者さんのアセスメントをして、吐き気を抑えることを最優先にするのであればまずそこを目標にしていきます。どのくらいの期間で在宅移行を目指しているのかによってスケジュールは変わりますが、経口が難しい状況が予測されるのであれば早くパッチ製剤や持続皮下注に変えていくことが見通しも含めてよいのではないかと思います。便秘はオピオイド使用では必ず起きてきますので、副作用の薬剤を選択したり、下剤内服をしながらケアでも温めたりマッサージしたりするなどできそうなことから取り組んでいったらよのではないでしょうか。ケースごとにいろいろな困難にぶち当たったりすると思いますが、迷った時には基本に戻って痛みを理解し、何からやっていけば良いのかチームで合意して段階 的に取り組んで行くのが大事だと思います。
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