多職種からなるチーム医療と言われますが、実際の現場では多職種が一緒に活動することはあまりありません。医療現場でのチーム活動は、顔や名前も知らないメンバーが突然に集められて練習なしに課題に取り組むことを、時間的空間的に繰り返して成立するものです。このような、臨時につくられた小さなチームが、ひとつの目的を成し遂げることをチーミングと言いますが、効果的なチーミングのためには個人が確実に考え、周囲に発信し、チームが受け止め、活動する必要があります。そこで今回の研修では、人の思考には多くのバイアスに左右される速い思考とより確実な遅い思考があること、確実に発信するためのコミュニケーションスキルが必要なこと、安心して発信できる心理的安全性と呼ばれる安心感が大切であること、などについて考えたいと思います。医療現場では多職種からなる大きなチームではなくごく少数のメンバーによるチーミングが必要であること、そのために心理的安全性が必要なことを理解していただければ幸いです。

講　師
　　　　　　東京慈恵会医科大学附属病院 中央検査部/教授
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 海渡　健　氏