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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第2回 チームで取り組む医療安全対策シリーズ 事故防止のための『看護師に必要な薬の知識』

東京逓信病院薬剤部 副薬剤部長
大谷 道輝 氏

医療安全 STAGE1〜4

ライブ研修 4月20日(水)/ オンデマンド研修 4月25日(月)〜5月23日(月)

看護師による薬の事故ではヒヤリ・ハット報告の蓄積により、経験年数が少ないこと、与薬時に多発すること、昼間の頻度が高いことなどが明らかとなっています。一方、看護師による薬のインシデントやヒヤリ・ハット報告は減少せず、同じような事故報告が続いています。この原因として、薬に関する勉強方法や薬剤師の活用などに問題があることが考えられます。薬の勉強では薬理作用だけでなく、剤形も大切です。ジクロフェナクでは錠剤にない【警告】が坐薬の添付文書に記載されています。坐薬の方が良く効く反面、副作用にも注意が必要です。最近では薬剤師が病棟に常駐する病院が増えています。薬の専門家である薬剤師を活用することも事故防止には有用です。今回は、薬のインシデントやヒヤリ・ハット報告から看護師に必要な薬の知識と薬剤師の活用について一緒に考えてみたいと思います。

発信会場:発信会場:藤沢湘南台病院(神奈川県藤沢市)

第2回 チームで取り組む医療安全対策シリーズ  事故防止のための『看護師に必要な薬の知識』

質疑応答

  • 自己管理薬のアセスメントをされていて、インシデントが25%減ったというお話がありましたが、具体的に自己管理薬のアセスメントの8項目とはどういったことをされているのか教えて下さい。
    おそらく皆さんが行っている事と同じだと思います。患者の状態が3項目で「視力障害」、「麻痺」、「理解度」あとは薬が4項目で「薬品数」、「服用時期」、「ハイリスク薬」、「持参薬」、これに患者の年齢で8項目となっています。項目数としては少ないと思いますが、同じ基準で全部の患者に行っていることが大切だと思います。 電子カルテの8項目に薬剤師が評価点を入れると自動的に計算し、結果を看護師が見で、再度評価をして判定が自己管理もしくは患者管理となります。患者が飲み間違えた時はもう一回、飲み間違えた時用の少し項目の多い表で評価し、再度自己管理を継続して良いかどうかを調べます。 今までは看護師の方がやっていましたので、本当に薬剤師の方がやって良い結果が出るかどうか分かりませんでしたが、1年間かけて行い良い結果が出たのでだんだん病棟を増やしています。今年度は全部の病棟に広げていく予定です。
  • 病棟の薬剤師さんと病棟の看護師とのコミュニケーションが大切になってくると思いますが、先生の病院の中で何か具体的な取り組みがございましたら教えて下さい。
    そこが難しいところで、特に薬剤師の経験と性格に左右されてしまうことがあるのではないかと思います。特に若い人ですと、なかなか積極的にアプローチできない場合があると思います。例えば先ほどの質問の自己管理薬のお話ですが、若い病棟担当の薬剤師が担当している病棟で、自己管理薬の間違いが非常に多く何とかしたいと私の所に話が来て、師長さんに話を通して初めてその病棟でそういうアセスメントが出来るようになったということがありました。この病棟では自己管理薬の評価を薬剤師が始めたことで、随分看護師が薬剤師に話しかけてくれるようになりました。このようなきっかけが必要な場合もあります。そうではない場合は、できるだけ上の方の人がこういう勉強会を開いたらどうだろうとか、こういう検討を一緒にやってみたらどうだろうといった提案をして溶け込める環境を作っていくことが大切だと考えています。あとは薬剤師の配属をある程度の期間変えないでおくようにしています。
  • 自己管理薬インシデントに関して質問させていただきます。薬剤師による服薬指導を行い、患者様より「わかりました」との返答があったにも関わらず内服の飲み間違いや飲み忘れなどの発生が多い実態があります。そのたびごとに発見や報告を受けた者が報告書の入力を行っています。これに関する対策やどの部分までインシデント報告を行っていったらいいのか教えていただければと思います。
    当院でも師長の判断で自己管理薬のインシデントを出さないことがありましたが、最近は面倒でも全て提出していただいてします。インシデント報告は詳細に書いてもらうようにお願いしていますが、不明な部分は医薬品安全管理責任者(当院の場合は自分)が聞き取りに行きます。これにより、原因が薬、薬剤師、看護師など判断でき、具体的な対策を講じることができます。現在当院では薬剤師による自己管理のアセスメンを行い、その後看護師による再評価で決定していますが、自己管理によるインシデント件数が大幅に低下し、今年学会発表します。薬剤師は薬のことはわかりますが、患者の状態など十分でない場合があります。当院では看護師に対しても非常に多くの啓蒙を積極的に行っており、看護師の再評価により約10%の入院患者のスコアが変更になっています。論文も複数発表していますので、何か看護師向けの医療安全の企画などあれば参考になると思います。 この質問の背景にインシデント報告が活用されていないとの現状があるような気がします。データは活用するために収集しています。この点が改善されないとインシデント報告が少なくなると思います。