年間スケジュールSCHEDULE

ホーム » 年間スケジュール » S-QUE院内研修1000&看護師特定行為研修 » 第5回 最新呼吸療法のエッセンスシリーズ~ハイフローセラピーの正しい知識と活用方法

Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第5回 最新呼吸療法のエッセンスシリーズ~ハイフローセラピーの正しい知識と活用方法

那覇市立病院 集中ケア認定看護師
清水 孝宏 氏

呼吸管理(シリーズ) STAGE1〜2

ライブ研修 6月8日(水)/ オンデマンド研修 6月13日(月)〜7月11日(月)

近年ハイフローセラピーが新しい呼吸療法として注目されています。患者さんに優しい呼吸療法であることに加え、実感する呼吸への効果が実に大きいことから注目されているのがハイフローセラピーです。 通常の酸素療法と人工呼吸療法の中間的な位置づけにあるハイフローセラピーを有効にかつ安全に管理するには現場の看護師の力が重要となってきます。ハイフローセラピーの有効性、安全管理、ナーシングケアについて現場ですぐに活用できる内容をお話しします。

発信会場:発信会場:那覇市立病院(沖縄県那覇市)

第5回 最新呼吸療法のエッセンスシリーズ~ハイフローセラピーの正しい知識と活用方法

質疑応答

  • ハイフローセラピー中の吸入の実施について2つ質問があります。1つ目は、鼻からはネーザルカニューレを装着し、口を閉じている患者へのメッシュ式ネブライザーの良い方法を教えてください。2つ目に、ハイフローセラピー中のネブライザーの実施は効果があるのでしょうか。
    大変良い質問です。国内の文献を検索したところ全然ヒットせず、海外論文が少しヒットしましたので説明いたします。あるフランスの研究論文では、ハイフローの加温加湿器の出口あたりにネブライザーをセットし、呼吸不全のモデルを用い検証しています。この研究では薬液は沈着したとしています。一方、一番詳しく載っているのは2015年のRespirayory Care 60-6(レスピラトリーケア)です。その中にNPPVとハイフローセラピーにおけるネブライザーの使用に関する総説です。その中では、ハイフローに関しては高い流量になるとそれだけネブライザーを使用しても、薬液の沈着率が低く、逆にフローを下げることで薬液の沈着量が増えるのではないかと考えられています。ただそれに関する細かい科学的な根拠はまだ出ていないので、今後の研究が待たれると書いてありました。 当院の場合はハイフロー中のネブライザーはあまり行う症例がないのですが、万が一行う際は、1回外し、低酸素血症が許容できる範囲であれば、外してきちんとネブライザーのフローを吸って頂く、もしく定量噴霧式吸入器(MDI)を使用し、リザーバーで吸って頂くという形が一番良いと思います。
  • 講義の最後の症例にあった終末期のハイフローセラピーについてですが、呼吸不全での苦しい思いがハイフローセラピーを使うことによって呼吸の困難が取れて良かったということがありました。先程の論文も呼吸数とか酸素飽和度が上がったという結論があり、今後同じような症例が来ると思うのですが、がんの末期で呼吸不全が来てるといった方もすべての症例にハイフローセラピーを使って行うということは方針として決まっているのでしょうか。
    ハイフローセラピーはやはり限られた資源ですのですべての症例に導入するのは困難と考えます。しかし効果的に呼吸困難を軽減できるデバイスなので終末期の患者さんにはそれなりの恩恵があると思います。ですので呼吸困難を軽減できるひとつの方法、選択肢として活用いただければと思います。終末期の患者さんの呼吸困難軽減対策はオピオイドなどの麻薬系鎮痛剤の使用は呼吸困難感を軽減します。また状況によっては鎮静剤を使用することもあります。このような薬物的な呼吸困難軽減を図った上でハイフローセラピーを導入すべきです。ハイフローを使ったことで酸素化が良くなり、それで一喜一憂しているのは本当に問題解決にはどうかというところです。  今のところ、まだ当院では取り決めはないのですけれど、最終的に改善が難しいのであれば、ハイフローを使った緩和ケアとしての取り決めを作る上で考えていることは、やはりオピオイドなどを使った緩和ケアをしっかり行った上で導入するというのが重要と思っています。