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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第6回 症例から考えるドクターコールのポイント

公立陶生病院 集中ケア認定看護師
濱本実也 氏

急変(シリーズ) STAGE2〜4

ライブ研修 6月17日(水)/ オンデマンド研修 6月22日(月)〜7月20日(月)

救急対応では、看護師の観察力、アセスメント力、対処技術など、様々な能力が求められます。中でも、患者への対応を左右する重要な能力に「伝達力」があります。「報告したのに医師が来てくれない」「急変だと思うけど様子観察だと言われた」そんな経験はありませんか?逆に、他の看護師から報告を受け「わかりにくい」と感じることもあるかもしれません。
「どう報告すれば状況が伝わりやすいのか」いくつかの報告ツールを紹介しながら、適切なドクターコールについて考えたいと思います。

発信会場:発信会場:聖霊病院(愛知県名古屋市)

第6回 症例から考えるドクターコールのポイント

質疑応答

  • DNARを取っている患者さんのドクターコールに迷うことがあるのですが、どのタイミングでコールをしたらいいか教えていただけないでしょうか。
    DNARは、がんの末期や老衰など、救命の可能性がない患者において、本人や家族の希望で心肺蘇生を行わないということを示していますが、これは、心肺蘇生以外の治療やケアを拒否するものではありません。「DNR=なにもしない」とする場合も確かに臨床ではありますが、間違った解釈で必要な治療が見過ごされることが無いようにしなければならないと思っています。どの治療をどこまでやるのかということをまず医師と話しておくことが重要です。たとえば、「血圧が80以下に低下したらカテコラミンを増量する」という方針があれば、血圧80が報告すべき内容になります。まずは、心肺蘇生以外のケアをどこまで行うのか方針を確認し、その上で報告レベルを明らかにしておきましょう。
  • 院内に主治医の先生がいる時はドクターコールをしやすいのですが、夜間や休日などで院内に主治医の先生がいない時にドクターコールをするか迷う場面が多いです。そういった時のポイントなどありましたらお願いいたします。
    「こんな事まで・・」と報告レベルに迷うこともあると思いますが、基本的には「今、患者の対応に困るのであれば、医師がどこにいてもドクターコールする」という姿勢でよいと思います。報告の中で、報告レベルを理解する事も大事だと思うからです。もし、状況をよく知らない院内の他の医師に報告するか迷うということであれば、報告のポイントは、「患者背景をしっかり伝える」ことと、「この状況であれば、主治医は対応してほしいであろう」など自身の報告理由を伝えることです。例えば、「以前、このような状況で対処が必要でしたので、一度診察していただきたいです」などです。
  • 整形病棟では基本的に主治医にドクターコールをするという決まりがあるのですが、いつも迷うのが6時のラウンド時のちょっと状態が悪い人の報告で、ある先生は早めに来るのでちょっと待とうとか、あの先生はいつも遅いから電話した方がいいのではないかといったことを看護師間で話し合って対応しています。明らかに状態が悪い場合は報告しますが、早めに知ってもらいたいとか、呼吸状態が悪くて早めにレントゲン撮ってほしいとか、朝食どうしようとか、常に院内に主治医がいるわけではないので、どう判断したらいいか教えていただけたらと思います。
    「呼吸循環など急変に繋がる変化」あるいは「対処が早いほうが患者の回復にとって良い」と判断するなら待たずに報告する、というのが私の判断基準の1つです。勿論、スライドでお示しした緊急度も大事な評価指標になります。もし、呼吸状態が悪いと電話をして「そんな電話あとでして来い」と医師に言われたとしたら、「では今後は、このような呼吸状態の悪化の際、先生への電話はあとにしろ・・・ということですね」と後日でもかまいませんので丁寧に確認しましょう。ドクターコールは看護師にとっては大変な問題です。よかれと思って報告して、すごく責められたりすると本当に心がしぼんでいきますし、次にどうすれば良いのか分からなくなってしまうこともあります。だからこそ「私の報告は何か間違っていますか?次はどうさせてもらったらいいですか」と、嫌みではなく丁寧に伝えていくことが重要だと思います。そうすると、「いやごめん、やはり電話してください。」といった返事があるかも知れません。その瞬間のためではなく、そのあと数ヶ月または数年つき合っていかれる先生だと思いますので、対話の中で基準を決めていくことも大事だと思います。