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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第12回 質の高いエンド・オブ・ライフ・ケアを目指す家族ケア

青梅慶友病院 看護介護開発室長/老人看護専門看護師
桑田美代子 氏

老年看護 STAGE1〜4

ライブ研修 9月16日(水)/ オンデマンド研修 9月21日(月)〜10月19日(月)

エンド・オブ・ライフ・ケア(EOLケア)とは、「病いや老いなどにより、人が人生を終える時期に必要とされるケア」です。特徴として、その人のライフ(生活・人生)に焦点を当てる。患者・家族、医療スタッフが、死を意識した頃から始まる等があげられます。そして、期間についても、亡くなる数日~数週間という短期間ではなく、月~年単位の長期間を表します。つまり、対象においては、日々のケアがEOLケアともいえます。今回は高齢者のEOLケアについて述べ、そこから家族ケアについて考えたいと思います。

発信会場:発信会場:堺市立総合医療センター(大阪市堺市)

第12回 質の高いエンド・オブ・ライフ・ケアを目指す家族ケア

質疑応答

  • 先生がおっしゃっていた死を語るという部分についてですが、慢性疾患を抱えているとなかなか本人に伝えるのが難しいです。先生はどういうふうに死を語るでしょうか。
    本当に難しいと思います。実はこの前も慢性疾患看護を長年実践している方達と同様のことについて話し合いました。これまで慢性疾患を抱えて一生懸命頑張ってきたのに、「死」は語れないと話していました。私が伝えたのは、「これまで一生懸命頑張ってきた“病気”で亡くなるのではなく、“老い”で亡くなるということです。私達は必ず老化の延長線上に死があるわけですから、慢性疾患を抱えてよくここまで頑張ってきました。だからあなたはその病で亡くなるわけではない。老いで亡くなるのだっていうことはおかしいことでしょうか? ということを、慢性疾患看護を専門に実践している方達に伝えました。そのような考え方は、受け入れらないのでしょうか。慢性疾患の専門看護師をなさっているならば、そのことを是非看護を実践している方達、そして、患者の方達に伝えていく役割を担っていただきたいと思います。先程も言いましたように私達は皆、いずれ亡くなります。死を敗北に考えすぎてはいけないのではないかと考えます。 また高齢者の大きな特徴として、慢性疾患を“抱えている”ということがあります。悪性疾患ではなくて慢性疾患を持っているわけです。ですから専門看護師、認定看護師、現場のエキスパートのナース達と、そのことに対して決して悪いことではないということをもっとご本人達にもご家族にもスタッフ達にも伝えていく役割があると思います。 死には希望がないと思っているのは私達ではないですか。しかし、繋ぐのですよね。昨日ある90歳の女性の方に「あの世に行ったらどなたに会いたいですか」と尋ねたら、「旦那」と返答がありました。「ご両親ではないのですか」と聞いたら「いいえ、相棒、旦那よ。それが一番の楽しみ。あなたもあの世に行ったら会いましょう」と言われました。ですから、このように発想をどう変えていくかということを私達側に求められているのではないでしょうか。「慢性疾患はよくがんばりました。悪くなっていません。でも老いたのだと考えてみるはどうでしょうか。そして、あの世に繋ぐのであり、死は望みのないものではないということです。
  • 看護局で管理をしております。各病棟の師長達から患者様のことやご家族のことについて報告を受けたり相談したりしています。講義の中のご家族との関わりのところで、やはり苦手なご家族とはなかなかコミュニケーションが取れないので、余計にご家族と接しなさいと先生はおっしゃっていましたが、何で苦手なのか自分達で言葉に出して話すことが大事だとおっしゃっていましたが、そこのところをもう少し詳しくお話して頂ければと思います。
    苦手なご家族というのは本当にいますよね。でも、私が苦手であっても、他の人は苦手ではないというスタッフもいるものです。どこが嫌なのか、どういった時に嫌なのか、我々のケアは本当に個別性を配慮したものであるのか等、様々な視点から考える必要があると思います。価値観はみんなバラバラです。当院のベテランの師長は、ご家族を自分達のファンにした方がいいと話しています。その患者へのケアを通して信頼を得ていき、自分達のファンにすることでご家族が変わると言います。具体的に何が嫌なのか、自分達のケアについてご家族に考えがちゃんと伝わっているのか、自分達の考えをご家族は理解しているのか、ということを確認していくことが大事かと思います。 自分ひとりでケアしているわけではありませんので、関わっているスタッフ達が同じ共通認識を持つことは大事ですよね。「あそこの家族って何か嫌だよね」というときに、具体的に何が嫌なのかを考えてみることが大事だと思います。苦手なご家族から信頼を得られると達成感がすごくあります。すごく分かり合えたという思いにもなる。その体験をいくつも重ねていくことが家族ケアに長けていくことになります。