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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第17回 安全な投与法 ~外来がん化学療法について

大阪大学医学部附属病院 がん看護専門看護師
田墨 惠子 氏

ライブ研修 12月4日(水)/ オンデマンド研修 12月9日(月)〜1月6日(月)

がん化学療法において、医療チームメンバーや患者・家族が、看護師に期待する役割は大きい。看護師は、曝露対策を含めた抗がん剤の安全な投与法に関する専門的な知識とスキルを持つことが必要である。一方、病院のみならず、経口抗がん剤やインフューザーポンプを利用した在宅化学療法が普及していることより、安全な投与においては、患者のアドヒアランスという視点も大切になる。
今回は、看護師が知っておきたい抗がん剤の安全な投与法に焦点をあて、ポイント的に概説する。

発信会場:発信会場:PL病院(大阪府富田林市)

第17回 安全な投与法 ~外来がん化学療法について

■ 第17回研修レジュメを準備しました。ご契約施設担当者の方は、事務局からのメールに記載のページよりPDF資料をダウンロードして下さい。

質疑応答

  • 排泄の排除、おしっこのケアの方は抗がん剤が終わってから2日間「2回流しをして下さい」とずっと指導してきたのですが、資料を見ていたら、ある病院では排便あるいは血液の付いたものを2日間はトイレの方に2回流しをして下さいとありました。こういった指導はどの程度までするべきでしょうか。
    排泄に関して、今は節水型タイプのトイレになっていますので1回の水量が少ないため2回流しは言われています。もう1つ大事なのはトイレの蓋を閉めて2回流してくださいということです。目に見えない噴霧状態で飛びますので必ず蓋は閉めて2回流してして下さい。同様にトイレの便座を必ず何回か拭かないと、健康な方がそこに座ると付着したもので皮膚被ばくをしますので、ペーパーを敷くなどが1番良いです。
    私の所では患者さんとナースが同じトイレを使っているのですが、ナースには常に「そのまま座ってはダメ、面倒でも絶対にペーパーを敷いてね」と言っています。
    排泄物に関しては全て同じだと思います。例えば血液に関してもどのくらい出たかという事にもよると思いますが、体液に関しては全部そう言われています。 海外等ではやはりリネン類を別に洗う事が言われていますけれども、実際に外来で自宅に帰られた方にそこまでするという事は難しいと思います。根拠のある事かどうかは分かりませんが、私は小さなお子さんや赤ちゃんがいる場合「赤ちゃんの物は別にした方がいいですよ」と伝えるようにしています。
  • 抗がん剤がとても短い時間に短縮されて外来の化学療法の患者数がとても増えていて、それは良い事でもあるのですが、短時間で多くの患者さんが来て多くの穿刺とルート管理という事になった時に、血管外漏出が怖いので、ある特定なものしか輸液ポンプを使っていません。今後、自然滴下の輸液ポンプを使って、より安全に使えたらと思っているのですが、アドバイスをお願いします。
    漏出した時に1番問題が大きいのは、強制注入型ポンプを使って壊死を起こした場合、注入ポンプを使った事を問われると思います。ですから18項目の内、危険だと思うものには使いませんし、強制注入型ポンプを使う場合はかなり頻回に見て、自流滴下をさせて、指示量以上の摘下速度があるのと、十分な逆血があるという事を確認して使います。ナースたちは自流で落としているのと同じくらいチェックに入っています。
    あと自流摘下型のポンプもかなり沢山私の所も持っていまして、壊死性抗がん剤を30分位で落とす時には全てそれを使っています。精度が高くなってきていますので使いやすいと思います。
    肘などで曲げると、すぐに止まってアラームが鳴ります。でもそれが強制注入型ポンプを使っていて気付かずに入れ続けると漏出することになります。時間に正確に落ちていきますので、時間に関する問題は感じられないです。強制注入型のポンプに比べると価格も10万位で安価ですので、使用するのはとても良い事で、全部これを病棟の方で入れている病院もあります。
    強制注入型のポンプに関しては殆どの施設が「使ってはいけない」と言われますね。
    私の所はそのリスクをふまえた上でやっていますので、お話したようにそのやり方をして、漏出がどれ位だったかは常に見ていきます。あと、(皮下漏出件数の)モニタリングを行い、少しでも漏出が増えている場合場合にはもう1度使い方を見直すようにしています。
  • 従事している看護師に妊婦がいるため、被ばくに関して改めて考えたのですが、その時にゴーグル手袋や、使い終わった抗がん剤等をビニール袋に入れてハザードマークのごみ箱に入れているのですがそのような方法、対策でよろしいでしょうか。
    防護に関してですが、まず手袋に関してはニトリル性を使っています。ゴムやプラスチックは通しますので、朝来た時点で全部ニトリルの手袋を履いています。皆さん小さなお子さんもいるので、履いています。環境を暴露されている可能性がありますのでマスクとニトリル手袋は必ず付けています。
    抗がん剤を変える時にはゴーグルも付けています。一番心配なのは常温揮発してくるシクロホスファミド、エンドキサンとイホマイド、イホスファミドとベンダムスチンという薬の3剤で、常温でも揮発しますので、落ちた瞬間に揮発してくるとマスクがN-90とかでないと防御できないです。それに関しては閉鎖のルートで調製する事によって回避が出来るという事で、前回の診療報酬改定の時から保険点数がいくらか入ってきていまして、かなりの施設では薬剤師の方々がそれで調製されているという事を聞きます。そのように妊婦の方もそういった防護の対処をしています。あと5ヶ月〜6ヶ月を過ぎてくると妊婦の場合は抗がん剤を入れても胎児には影響がないと言われているので、それくらいまでは細胞毒性の強いエンドキサンだとかアンソラ系だとかは触らせないようにし、他のナースでカバーするようにしています。
    後は妊娠がわかった時点で、必ずその勤務を続けるには同意を得るようにしています。希望があった時にはすぐに出てもらうようにと言っていますけれども「大丈夫です」とナース達は言います。その代わり確実に防護をしています。
  • 外来化学療法室にて看護師による抗がん剤投与の静脈注射穿刺の開始を検討しています。今ひとまず看護手順の作成は終了したのですが、実際に導入するにあたって問題となりやすい点や、手順を見直すポイントなどについて教えてください。
    マニュアルというのは基本技術の延長線上ですので、基本技術項目を入れれば良いと思います。同様に大事なのが、もしもリスクが起きた時にどうするかということです。先ほどお話したリスク要因の評価というのも入れ込むべきだと思います。それから記録です。漏出したときの記録を問題に耐えうるように、きっちりと作成するようにマニュアルに入れることが大事です。
  • 当面は抗がん剤投与を認定看護師が行っていこうかと思っているのですが、ゆくゆくはジェネラルの皆さんにも協力していただきたいと思っています。 ただ今の時点でジェネラルの皆さんからは漏出させないかどうか不安であるとか、一回できちんと穿刺できるか不安とのことで学習会を検討しようと思いますが、アドバイスをお願いします。
    導入される時にまずCNがなさるのはとても良いことと思います。その後ジェネラルナースが行う場合は、壊死性抗がん剤でないものから開始するべきです。そして自信を持たれてからやるべきです。それから穿刺は絶対にひとりでやってはいけません。2名でペアを組んで血管選択を一緒にし、これで大丈夫、入った時は問題なかったというのを必ず確認することです。また、穿刺だけにとらわれず、維持管理技術も同様に鍛えていくことがポイントとなると思います。