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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第23回 命と向き合う、看護を語る(ナラティブ)

特別養護老人ホーム光寿苑施設長
太田 宣承 氏

ライブ研修 3月5日(水)/ オンデマンド研修 3月10日(月)〜4月14日(月)

人はどこで息を引き取ったとしても命の尊厳に変わりはありません。在宅での看取りがクローズアップされる一方で、病院でも施設でも、心込め人的環境を整えることで、看取りの場面は温かい時間になっていきます。場所よりも人が場を創ります。
耳元でその人の人生を讃える『こころの点滴』。
死生観を考えることは、人生観を考えること。『命のしゃべり場』を通して其々の価値観に触れます。
東日本大震災の支援に入る中で、一方的支援の姿(ニーズに応えるよりも支援側の論理で促す空気)を目のあたりにしてきたことは少なくありません。その時、その人が何を求めているのかという観察眼と『拝聴』の心得を被災地で感じ取りました。

発信会場:発信会場:日本赤十字社 秋田赤十字病院(秋田県秋田市)

第23回 命と向き合う、看護を語る(ナラティブ)

質疑応答

  • 家族というのは普段からすごく患者さんの近くにいるのでその人のことをよく知っているかなと思うのですけれども、看護の立場から見て、患者さんの考えと患者さんの家族の立場から見た考えの違いによくジレンマを感じる時があるのですが、そのような時の良いアドバイスありましたらお願いいたします。
    いいアドバイスはなかなか難しいのですけれども、その時あいだに立つのが私達の仕事になります。ご家族とご本人の意識のギャップに立つということについての質問ということでよろしいでしょうか。そういった場合は私達の施設ではやはりご本人がどう思われているかということを尊重し、ご家族にご本人の気持ちもお伝えします。だけれども伝わらない場合にはやはりご家族間の人生観や死生観というものがありますから、私達は間に立ちながらとにかく折り合うまでゆっくり拝聴し、どこで折り合うのかを徹底的に面談させて頂きます。とにかくすぐうまくいく場合とずっと残る場合があります。だからこそエンゼルケアであるとかそういった時の会話も必要になってきます。ようやくそこでご家族が心を開く場合もあれば、頑になったままの場合もあります。
    ご家族は自分の身内の命が危ないといった時に普段の姿じゃない場合があるということは認識しておいた方がいいです。このご家族は難しい人だという印象から入ってしまうと、表から入ってしまうと間違いを起こすので、きっと大事な人だからこそ困惑されてご本人の話している言葉も入っていかないのかも知れないし、あるいはいろんな関わりがあってこうなっているのかも知れないと一歩引いた目で見るようにしています。それでエンゼルケアの時にいろいろな会話をしながらご家族が心にずっとつかえていたものを吐き出して頂きながら、感情を出して頂きながらご納得して頂くようにしています。
    やはり丁寧に接していくしかないのです。技術とか知識ではないような気がします。
  • 先生のところではエンゼルケアの時に家族の人に入ってもらうのが普通でしょうか。
    はい。エンゼルケアの時はご家族に入りませんかと提案します。ただ無理には言えないご家族もいるので、お顔だけでもどうですか、そしてお体までいきましょうかと提案してみてだんだんと入って頂くこともありますし、全く拒否される方の場合はやはり難しいです。ただ基本的には入っていただくことが限定ですね。
  • 当院も赤十字なので災害看護で被災地に行くことがあります。今回5ヶ月位の期間救助に行ったのですが救護員研修を受けていないスタッフも行くことになり、とても悲惨な非日常的な光景を目の当たりにしました。そして帰ってきたスタッフがそのことを語ることすら辛い状況がありました。私達もそのような時に引き出してあげれば良いのですがなかなか聞き出せません。そのようなスタッフにどのように接するかアドバイスいただけますでしょうか。
    これも個人差があるのですが、無理に聞き出すことが一番危険なことですので、その人が出したいか出したくないかは側にいるということにしています。そして急に話したくなる時がくるもので、話したくなるタイミングが聞くタイミングだと思います。
    拝聴というのは聞き出すので無く、その場にいて出てきたら受け止めて差し上げる。そのタイミングがいつになるかは分かりませんが、「今日はカウンセリングですよ」ということではなく、 その方のそのタイミングを待つということしかできません。そして出てきたら丁寧に関わらせていただいき、ケアというのかその方の心につっかえていたものを出し切るまでお付き合いをする。 その人によっては数年掛かることもありますし、すぐに前を向ける方もいます。見た現場の違いや経験の違いもあります。離れずに待つという気持ちで関わるようにしてみましょう。