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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第23回 看護倫理/看護を語る

北海道医療大学客員教授
石垣 靖子

ライブ研修 3月6日(水)/ オンデマンド研修 3月11日(月)〜4月8日(月)

私たちは自分しか生きる事が出来ない固有の人生を生きる存在ですが、医療の場では当然のことですが、生物医学的に最善の治療が優先されます。それが、時にはその人の人生を望まぬ結果にしてしまうこともあるものです。一人ひとりは固有の価値観をもち、その時々の事情があります。ナースはアドボケートとして、物語られるいのち(人生)に関わりながら、その時その人にとって最善の治療(ケア)が選択できるように支援する役割を担っております。そして、そのプロセスが両者の成長につながることを、あらためて事例をとおして考えてみたいと思います。

発信会場:発信会場:札幌円山整形外科病院(北海道札幌市)

第23回 看護倫理/看護を語る

■ 第23回研修レジュメを準備しました。ご契約施設担当者の方は、事務局からのメールに記載のページよりPDF資料をダウンロードして下さい。

質疑応答

  • 急性期の病院では高齢者の患者さんが多くて、認知症の患者さん本人の同意をとるのが難しいことから、ご家族の同意をとって点滴や尿の管が抜けないようにしてしまいがちですが、私たちは本人の自由を奪うようなことをやらざるを得ないと思い込んで、治療を全うしようと考えているところがあります。そのことに向き合っていけるヒントは何かあるでしょうか。
    私たちは生物体としての身体と、この身体によって生きている人生があります。この身体がなくなったら人生も終わりですから、身体の状況をよくするのはとても大事なことです。しかし、身体だけに焦点をあてるのは本当の医療ではありません。高齢で認知症のある人でもその人がどんな人生を生きて来て、どんな趣味を持っていて、ご家族との間はどうだったのか、例えば友達が亡くなったときどんなことを言っていたとか、そんなことを知ろうとしていますか? その人がどんな人生を送ってきたのか家族に聞いてみてください。家族は自分の思いで、例えば胃ろうを作ってほしいとかおっしゃるかも分かりません。しかしナースがその人の人生を聞くことによって、「そう言えば、仲がいい人が死んだとき、胃ろうなんてつけたくない、管なんかつけたくないって言っていたね」とか、医療について言わないまでも何を大事にして生きてきたか家族が思い出すことがあります。家族がそのときその人の人生をあらためて思う機会が必要です。それは家族に対するケアでもあります。ナースやメディカルソーシャルワーカーは家族と一緒になって、本当にその人のためになることは何なのか?治療しなかったらどうなるだろうか?その効果とデメリットなどを誠実に話し合うことができれば、その結果出た結論はベストだと思います。疾患だけに焦点をあてて物事を決めるのではなく、その人の人生に触れて家族と共有してください。年齢に関わりなく生きていきたいと言っていた人なら、生き続けることをみんなで応援したらいいと思います。話し合いがなくその人の人生に触れることなく、生物学的な理由だけで治療を決めるということは、時にはその人の人生の破壊に結びつくことがあるということを申し上げたいと思います。アドボケートとしてのナースの役割は大きいと思います。
    話が少し違いますが、自分自身のかけがえのない体験をメモして積み重ねておくことはとても大事です。次の日も次の日も忙しいですから大事な体験が流れていってしまいます。メモは自分自身の看護の体験を今後につないでいくために大事な教材になります。