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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第1回 看護師に必要な剤型の知識

東京逓信病院薬剤部副薬剤部長 薬学博士
大谷 道輝

ライブ研修 4月2日(水)/ オンデマンド研修 4月4日(金)〜4月18日(金)

日本医療機能評価機構のヒヤリ・ハット事例収集における発生した場面別では第1位は「処方・与薬」です。当事者の職種別では第1位が看護師で全体の75%を占めています。特に経験年数が少ない程、ヒヤリ・ハット件数が多く、1~2年後には急速に減少しています。このことは臨床現場に出る前に薬に関してもう少し勉強していれば、ヒヤリ・ハットの発生を大きく削減できることを意味しています。看護学校での薬の授業は1年生の「薬理学」だけで、作用部位での薬の働きしか教わりません。薬は作用部位に運ぶために多くの「剤形」でできています。そのため、与薬ではこの「剤形」を覚えることが大切です。今回は与薬におけるヒヤリ・ハットの防止に役立つ「剤形」の特徴について解説します。

発信会場:昭和大学病院(東京都品川区)

第1回 看護師に必要な剤型の知識

■ 今回の研修は、昨年医学書院から出版されたJJNスペシャル80の「今日から役立つ『剤形別くすりの知識』」から抜粋して話されています。講義で使用された図表もこの本にありますので、参考までにご紹介します。

医学書院 JJNスペシャル No.80
定価 2,730円 (本体2,600円+税5%)
今日から役立つ 剤形別くすりの知識

●医療用医薬品の基礎知識を剤形ごとに解説した実務書。錠剤・カプセル剤、散剤・顆粒剤(粉薬)、坐剤、内用水剤、皮膚外用剤、注射剤ほか12の剤形別に、体内動態や吸収経路などの基礎知識から、保存・管理方法、与薬の際の注意事項までを、Q&A形式でわかりやすく解説している。オールカラー。

質疑応答

  • 緑内障の患者に安定剤はあまり良くないと聞きましたがどんな薬剤は可能でしょうか?
    点眼剤における安定剤などの問題は特に緑内障に限ったものではありません。刺激あるいは接触皮膚炎ですので、患者個々に異なります。同じ主薬でも添加物が違う製剤が市販されていますので、患者個々に選択する必要があります。ヒアルロン製剤でもカプロン酸が接触皮膚炎の問題となる場合があります。この場合、先発医薬品には含まれていますが、ジェネリック医薬品の一部では含まれていない製剤があるので、それを選択すると解決します。また、点眼回数や滴数によっても異なります。正しく使用されているのか確認することも大切です。
  • デュロテップバッチの在宅での破棄の仕方についてですが、焼却しても大丈夫なのでしょうか?
    デュロテップパッチは使用後は接着面に触れないように折り、家庭ゴミとして廃棄すればいいとなっています。これは海外でも同じです。大切なのは子供が誤って食べたり、他のヒトについてしまったりしないことです。おばあさんが使用していて、はがれて孫について、呼吸抑制が発現した事例があります。焼却については可能であり、焼却時のダイオキシン濃度も問題のないことが報告されています。
  • 最近ジェネリック薬を使用するようになっていますが、それに関して何かインシデントを紹介していただけますか?
    ジェネリック医薬品に変更したことで特化したインシデント報告はありません。ただし、先発医薬品とジェネリック薬は適応症が異なりますので、十分に考慮して切り替えないと適応外使用で問題となる可能性がありと思います。インシデントではありませんが、ジェネリック薬への切り替えで、不純物によるショックや副作用の増加などの報告、効果が異なったとなどの報告があります。内服薬では再評価が義務付けられていますが、注射剤や外用剤は義務付けられていないので、情報不足です。海外ではステロイド外用剤で先発医薬品とジェネリック医薬品で効果に差があるとの報告が多く見られています。
  • 使用していると薬の名前がどんどん変わっていきますよね。昔でいうところの薬は何だったかというような、そのあたりで問題があったりしますか。
    ジェネリック医薬品の採用では現場での混乱への対応が最も大切です。当院では毎年出している医薬品集に切り替えの一覧を示し、電子カルテにもジェネリック医薬品の名称の後に先発医薬品の名前と付けて医師への情報提供を行っています。また、現場で看護師の皆さんの混乱を防ぐために、先発医薬品と当該ジェネリック医薬品の写真をとって、比較表を配布しました。それでも未だに薬品請求時に先発医薬品の名称で送られてくることがあります。十分な準備が大切です。
  • 薬剤については直接関係がないかもしれませんが、消毒薬も薬剤の方では重要なことで、病棟などでインシデントがあったりしますが、例を紹介していただけますか?
    消毒薬のインシデントでは濃度の調製間違いが最も頻度が高いと思います。最近では希釈された多くの消毒薬が市販されているので、できるだけ採用すべきです。ディスオーパなど試験紙で確認を怠って使用される例も報告されています。ポピドンヨードやアルコールアレルギーにも注意が必要です。手術室などで、ポピドンヨードによる接触皮膚炎のインシデントが報告されています。また、インシデントまでは行きませんが、病棟を巡回していると特に回診車に期限切れの消毒薬があったり、開封日が記載されていないものが多く見られます。消毒薬ではICTによる定期的なラウンドを徹底することが大切です。多くの病棟から消毒薬の選択について同じような質問を受けることがあります。このようなことからも、情報の共有化と周知徹底の必要性を痛感します。