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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第3回 点滴管理の基本とコツ

日本ベクトン・ディッキンソン株式会社BDメディカルメディカルシステム事業部フィールドナース
長尾 美紀

ライブ研修 5月7日(水)/ オンデマンド研修 5月9日(金)〜5月23日(金)

2002年(平成14年)に厚生労働省から、「看護師等による静脈注射の実施について」の通知が出され、「診療の補助行為の範疇」として取り扱うものと変更されました。看護師による静脈注射が正式に 認められた今、安全な輸液管理を行うための知識、技術の習得が求められています。
点滴管理の基本とコツとして、静脈血管の構造、静脈穿刺に必要なプロセス、安全な穿刺方法についてご紹介します。

発信会場:東京女子医科大学八千代医療センター(千葉県八千代市)

質疑応答

  • 末梢のカテーテル交換はだいたい3日間ということで、静脈炎の発生を防ぐために、そのように通達しておりますが、非常に高齢の方とか入りにくい方、講義の中でも赤ちゃんのケースを採り上げていましたが、ガイドライン通りにした方が良いのか、それともプラスアルファ部分があったら教えていただければと思います。
    スライドではCDCのガイドラインに準じて3日~4日の交換時間(72時間~96時間)ということで出ていたと思いますが、やはりおっしゃるように現場の患者さんの状態に合わせることが一番ですので、CDCのガイドラインの時間は目安として考えていただきたいと思います。高齢者の方など血管がもろくて細くて取りにくいという場合には、静脈炎がないかという観察をしっかりしていただき、静脈炎の発生がない場合はその患者さんの輸液治療を継続することを優先して、観察を続けながらカテーテルをずっと留置したままということでよろしいと思います。
  • 当院の静脈注射の研修では、準備する段階から手洗いをして手袋をするという指導をしておりますが、手洗いをすれば末梢の輸液の準備はよくて、手袋は必要じゃないのでしょうか教えていただきたいのですが。
    病院によって様々なマニュアルがあるかと思いますが、基本的に患者さんに触わる前に手指衛生をするというのが基本となります。静脈穿刺の場合は準備物品などがありますので、その準備の際にも手洗いをし、患者さんの腕のアセスメントのために駆血帯を巻き、この血管にカテーテルを留置が決まったところでまた手指衛生をして手袋を装着し、静脈留置の手技に移っていただくのが良いかと思います。
  • 準備の段階では手指衛生を行って手袋を着用する必要はないということでよいのでしょうか。
    普段は輸液を準備する段階で、ジェルなどで手指衛生をされることが多いと思いますが、準備物品を揃える場合にはどのようにご指導していらっしゃるのでしょうか。
    基準がおそらくないのかと思いますが、先程のDVDの手技も、あるご施設の院内のマニュアルに沿って作っておりますので、それぞれの病院でのやり方でよろしいかと思います。
  • ドレッシング剤の固定について、講義の内容やCDCの部分では半透明のドレッシング剤でハブ部分まで固定してしまっていましたが、ハブまで固定してしまった時の危険因子とか、感染について教えていただければと思います。
    CDCのガイドラインでは半透過性固定滅菌ドレッシングで固定することとありますが、どこまで覆うのかという記載はなくガイドラインはありません。スライドではカテーテルハブと輸液ラインの接続部は覆わないと出させていただきました。

    これは何故かといいますと、たとえば患者さんがオペ室に入られて、オペ室で高流量の輸液をされて病棟に戻って来るときに、輸液の滴下が変わることがあります。ベッド移動や、スタッフもオペ室から病棟に変わったときに、カテーテルハブと輸液ラインの接続部までドレッシング剤で覆われていると、接続部を確認することが確認しづらくなるかもしれません。滴下が変わってしまったり、ベッドが移動したときにそこが緩んでしまったら、患者さんに行くべき大切な輸液が漏れてしまう可能性があるので、しっかり接続部に緩みがないか、輸液の漏れがないか確認していただくのが必要ということで、カテーテルのハブと接続部まではドレッシングで覆わないという解釈です。

    患者さんのカテーテル抜去、輸液ライン抜去を考慮し、しっかりと輸液ラインとカテーテルのハブの接続部をドレッシングで覆っているというご施設もあるかと思いますので、リスクマネジメントの上でしっかり接続部も覆うというのも、ひとつの考え方としてあると思います。

    輸液ラインの先端がロックである場合には、きちんとカテーテルハブと固定されますので、ドレッシングで覆わなくてもそこが外れてしまうことはないかもしれませんが、スリップタイプの先端の場合ですとスポッと抜けてしまう心配がありますので、そういう場合には接続部をドレッシングで覆うという考え方もあるかと思います。それぞれのご施設で使っているドレッシングも大きいものから小さいものまでありますから、大きさによっては接続部まで覆ってしまうサイズとなってしまう場合もあるし、小さければカテーテルハブのところまでで接続部は覆わないという対処もありますので、ご施設の方で何を優先していくかという点を検討して決めていただければ良いかと思います。
    接続部まで覆う、覆わないということによる感染の違いがあるのかということについて把握はしておりませんが、カテーテル挿入時には皮膚を消毒し、清潔な手技でカテーテルを留置し、滅菌ドレッシングを貼っていると思います。未滅菌手袋を使用しての留置手技ですので厳密にとらえる必要はないのかと思いますが、清潔手技を実施範囲でドレッシング固定をしていただければと思います。
  • 造影剤の穿刺・注入は、右手より尺骨皮静脈を選択的に穿刺するよう指示されることが多いです。20G針で高浸透圧の造影剤を注入器で高速投与するため、直前(10~20分前)に右尺骨皮静脈で採血(腎機能評価で当日採血されている方が多い)したばかりの患者様の場合は、同血管を選択することは可能ですか?
    また、同血管を選択する場合は、末梢側の穿刺は可能ですか?
    CT画像が多少低下しても、他血管を選択すべきでしょうか?
    検査上の指示もあるため、同血管を選択していただくことはよいと思いますが、選択部位としては採血をされた部位より中枢側が望ましいと思います。ご承知の通り造影剤は血管外に漏出した場合、周囲の組織損傷のリスク伴うことがあると思います。採血後、止血はされていても血管壁損傷がある状態で採血部位より末梢側から造影剤注入用にルート確保をされた場合、造影剤が血管壁より漏れる可能性があるためです。
    採血する部位を末梢側で選択していただくことが難しいようであれば、医師にCT画像が低下しても他の血管を選択すべきか確認をしていただいたほうがよいかと思います。
  • ヘパリンロックについて、投薬前にヘパリンを注射器で吸引して解除した方が良いのですか? 方法を教えて下さい。
    輸液療法におけるヘパ生の濃度を院内の基準に沿ってロックをしていらっしゃるのであれば、ロックされた溶液を吸引はしなくてもよいと思います。ブラッドアクセス用カテーテル留置にてヘパリンロックされている患者さんは既に血液がヘパリン化されている状態のため、ロックされた溶液は注射器で吸引して解除する場合があるのかも知れませんので、医師にご確認いただけたらと思います。