年間スケジュールSCHEDULE

Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第16回 ストーマケア

社団法人日本看護協会看護研修学校 皮膚・排泄ケア学科
中川 ひろみ

ライブ研修 11月19日(水)/ オンデマンド研修 11月21日(金)〜12月5日(金)

日本における大腸の悪性新生物による死亡数は、厚生労働省によると4万830人であり、結腸の悪性新生物は女性の死亡の第1を占め、手術治療は増加傾向にある。平成18年度の福祉行政報告例における膀胱・直腸機能障害の新規身体障害者手帳交付台帳登載数は2万5674名であり、腹腔鏡下手術の増加とともに、一時的ストーマが増加していると考えられる。このような背景から、この研修ではすべてのナースに必要なストーマケアの基本となるスキンケア技術や、皮膚障害のアセスメントなどストーマ管理のコツをわかりやすく解説し、事例を提示してケアの実際について紹介する。

発信会場:発信会場:独立行政法人国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)

第16回 ストーマケア

質疑応答

  • ストーマ近接部と皮膚保護材貼付部の区別について迷うのですが、ストーマ近接部というのはストーマの際から何ミリとか定義があるのか教えて下さい。
    何ミリという定義はありません。ストーマ近接部位は排泄物や溶解した皮膚保護材の刺激を受ける部位をいい、皮膚保護材貼付部位とは皮膚保護材そのものの刺激を受ける部位をさします。皮膚の状態と装具の貼付部位を観察して判断します。
  • 以前ストーマケアに関わっていた時に、外出時に匂いがとても気になるとおっしゃっていた方がいました。それは固形の便の時にパウチを交換できないので、トイレで便の処理をされて、それが下から開けるマジックのようなものと記憶しているのですが、今は匂い防止のために防臭剤などを入れるようなことはあるのでしょうか。
    匂いの問題というのは非常に重要な問題ですから、消臭剤を患者さんにご紹介することは、大切なケアです。今は各社から消臭剤と、ストーマ袋から排泄物を破棄しやすいように、潤滑剤を組み合わせたタイプの製品が販売されております。また、粉状になった製品もあります。しかし、消臭剤は持続効果があるわけではありませんので、排出口から継ぎ足して使用することによって、消臭効果を持続することが可能です。
  • 放射線の皮膚炎の項目で、フィブラストスプレーをパウダーして完治させたと伺いましたが、実際どのように使用されたか聞きたいです。
    外来でフォローしていた患者さんで、奥様と一緒にフィブラストスプレーの使用方法を説明しました。フィブラストスプレー使用後に、びらん部にパウダーを散布し、約1週間で治癒しました。フィブラストスプレーの使用が適切かという判断は、皮膚科の先生や外科の先生と相談することが望ましいと思います。
  • 講義の中で、こういう新しい商品が出てきましたというのをいくつか聞けたのですが、臨床において新しい装具の情報というのはどのように心がけるようにしたら良いでしょうか。
    皮膚・排泄ケア認定看護師がいる施設では、皮膚・排泄ケア認定看護師から情報をとっていただきたいと思います。製品情報は、学会、研究会、あるいは地域のセミナーなどから得るという手段や、代理店や各社メーカから情報を得ることができます。セミナーや研究会、学会等ございましたら、ぜひみなさんにご参加いただければと思います。
  • ストーマ用品はいわゆる身障者の方の装具という扱いから、日常の生活用品という部類に変わったと聞いています。そのことによって経済的負担というのは上がったのでしょうか。外来の立場から情報をお聞かせいただければと思います。
    日常生活用具となり、市民税割額に応じて自己負担が上限1割負担となっています。地域の財政などによって負担率が異なる場合があります。従来、身体障害者福祉の購入助成限度額の中で、自己負担がなかった方が負担しなければならなくなり、ストーマ保有者には負担があるという感覚をお持ちになっていらっしゃる方もいます。ストーマ外来では、装具を変更する場合や製品を紹介する際には、コストの説明は欠かせません。装具はできるだけシンプルに、患者さんにとって必要な製品を説明していくわけですが、患者さんはインターネットからの情報などたくさんおありです。説明しなかった場合に、「そういう説明は今まで一度も受けられなかった」とおっしゃいますので、情報提供し、その中から、患者さんが必要とするものを選択していただければと思います。
  • 先ほどカラヤ5とアダプトのリングを重ねて使うということがありましたが、交換時期の評価の仕方というのは、アダプトのリングが完全に膨潤したら交換と考えてよろしいでしょうか。
    完全に膨潤してから装具を変えますと、治癒したびらんが悪化することもありますので、皮膚の状態をアセスメントして交換間隔を決定します。
  • 肥満体型の方だとストーマの全体が見にくくて位置合わせがしづらいので、私は装具を半分に折って位置合わせを指導していますが、なかなかそれでも難しいという方がおられます。先生の場合はどういう風に指導されていますか?
    ストーマサイトマーキングで確実に見える位置に造設できるといいのですが、できなかった場合には、立位で貼ることや、逆に見えてしまってやりにくいとおっしゃる方もいますが鏡を使うとか、位置合わせをご家族の方に介助していただく方法をとっています。