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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第11回 心電図から学ぶ循環管理

榊原記念病院
三浦 稚郁子

ライブ研修 9月2日(水)/ オンデマンド研修 9月7日(月)〜9月28日(月)

心電図はもっとも簡便に心臓の機能をしる検査法であり、主に不整脈と心筋虚血の状態をみることができます。不整脈には生命に重篤な影響を与える危機的な不整脈から、循環動態にほとんど影響のないものまでさまざまです。また心筋虚血の状態でも、循環動態に与える影響は違います。したがって、心電図モニターを観察する循環器病棟の看護師には、心電図から循環動態をアセスメントする能力も必要となります。本テーマでは、心電図からアセスメントできる循環動態について紹介していきます。

発信会場:発信会場:榊原記念病院(東京都府中市)

第11回 心電図から学ぶ循環管理

質疑応答

  • VT、VFなど、危険な不整脈の出現予測をするためのアセスメントのポイントはありますか?
    例えば急性心筋梗塞で前壁中隔の梗塞などの場合は、心室性期外収縮(PVC)や、心室性頻拍(VT)を非常におこしやすく、特に心筋梗塞の超急性期には、このような重症不整脈が出現しやすいので要注意です。また、電解質の異常があると心性不整脈が出やすくなります。たとえば利尿剤を使って非常に反応がよく、利尿があると、カリウムが下がる可能性がありますので、カリウムをチェックして、低下していると、心室性期外収縮やVTなどの出現がないか観察する必要があります。また、RonTタイプのPVCが出ていると、VT やVFになりやすいので、観察が必要です。
  • 心不全をおこしている患者は、どのような不整脈が出現しやすいですか?
    心不全というのは疾患名ではなく病態なので、様々な基礎疾患によって心不全の状態になっています。基礎疾患によっていろいろ違いますが、心不全には慢性心不全、急性心不全があり、それによっても不整脈の種類が違います。例えば心不全の初期には、利尿を低下させて、全身に戻ってくる血液を増やして心拍出量(CO)を増やすという代償機能が働きますが、循環血液を増やす以外に心拍数を増やして心拍出量(CO)を上げるという方法もあります。したがって、洞性頻脈になる場合があります。また、慢性心不全の患者さんも、COを維持するために、頻脈の方が多いですが、この頻脈を正常に戻そうというのは、かえって良くないということです。つまり、頻脈によってCOを維持しているので、心拍数をおとすと、心不全で心収縮力がない状態では、COが低下してしまい、逆に心不全が悪くなってしまったり、低心拍出量症候群(LOS)などになってしまったりする心配があります。また、心不全では、循環血液量の増大に伴い、右房が拡大することがあり、そうすると心房細動を出現しやすい状態になります。急性の場合、心房細動を除細動すればいいのですが、自覚がなくていつなったかわからない心房細動の場合には心拍数コントロールをしておさめることもあります。その他としては、心筋の変性、拡張型心筋症とか肥大型心筋症とか、心筋が肥大して変性することによって、そこから心室性期外収縮が出やすくなることがあります。また、心房細動の場合変行伝導と言われるような不整脈が出ることもあります。慢性心不全で心臓肥大があり、慢性心房細動があって、PVCのような波形が出ている場合、変行伝導の可能性もあるので、鑑別を行い、循環動態にどのような変化があるかを見ておくのが良いでしょう。