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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第17回 ストーマケアに必要な基礎知識とスキル

日本看護協会看護研修学校副校長
溝上 祐子

ライブ研修 12月2日(水)/ オンデマンド研修 12月7日(月)〜12月28日(月)

医療現場の入院日数の短縮化と患者層の高齢化により、ストーマのセルフケアが十分に確立されないまま、在宅医療に移行するケースが少なくありません。今、臨床に求められているのはいかに合併症を起こさず、シンプルなストーマケアを提供できるかです。そのためにはクライエントのセルフケア能力を最大限に引き出すためのアセスメント、その方に適した装具をいかに選択するかというスキルにかかっています。今回はストーマケアに必要な基本的知識と装具選択に必要な情報に加え、最近のストーマスキンケアの考え方について、解説します。

発信会場:発信会場:独立行政法人国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)

第17回 ストーマケアに必要な基礎知識とスキル

質疑応答

  • 地域の病院だと常勤の皮膚科のドクターがいらっしゃらないこともありますが、真菌であるとか、組成膿皮症とか、一般のナースではわからない皮膚障害があった場合、どういったところに相談に行けば良いでしょうか。
    皮膚の専門家はもちろん皮膚科医ですが、今は皮膚・排泄ケア認定看護師という方々がいます。全国でその資格を取られた方が1000名を超えていますので、たとえばそういう方々がいらっしゃるストーマ外来などを紹介すると、ストーマ周囲の皮膚障害に関しましては相談にのっていただけると思います。それと皮膚科の先生がいらっしゃるような病院を受診していただくのも1つだと思います。ただ、皮膚科の先生でご注意していただきたいのは、皮膚科の先生は皮膚の病変部を診て診断し、それに合った外用薬を処方されるのですが、その外用薬が油性の軟膏でそれを病変部に塗ってしまいますと、皮膚保護剤が粘着しなくなります。ですから、ストーマを持った方が皮膚保護剤なしには生活できないということを、ぜひ皮膚科の先生にご説明なさって、外用薬の基剤を水溶性のものにしていただくなどの工夫が必要ですので、その理解を求めた上での皮膚科の受診が良いと思います。 そういった意味では、皮膚・排泄ケア認定看護師と一緒に診療なさっているような皮膚科の先生が最も経験がおありで、ストーマの患者さんの環境、皮膚保護剤が必要なことも理解した上で、良いアイディアをくださるのではないかと思います。ですので、そういったストーマ外来をインターネットなどで調べてご相談されるのはいかがでしょうか。 日本創傷・オストミー・失禁管理学会のサイトでストーマケア外来の一覧がありますので、参考にするのも良いと思います。
  • 回腸導管でSIS入りの装具を使ってもストーマ周囲の皮膚トラブルが改善しない場合は、SISを含まないものに変えた方がよいのでしょうか。
    その皮膚障害の原因によると思いますけど、例えば排泄物付着が原因の皮膚障害であれば、本末転倒でSISのないものはダメですよね。ですが、皮膚保護剤の一致した部分の皮膚障害であれば、SISが入っているための吸水性の低さとか、あるいはSIS が入っている物それ自体に粘着性はないのですが、基本的には長時間保つということを念頭にしたコンセプトの保護剤が多いので、粘着性が高いことも結構あります。ですからSISだけが悪者ではないので、まずは皮膚障害がどういった原因で起こっているのかというアセスメントをしてみてください。そして、もし剥離刺激が強くて起こっているような皮膚障害であれば、SISが入っていてもそれほど粘着が高くない装具もありますので、そういった保護剤に変更することなどを考えていただければ良いかと思います。
  • 講義中、難しいマーキングのところで出てきた、腹壁がすごく膨張した方の場合、腹直筋を確認する時にどういう風にされたのかを教えていただきたいです。
    腹直筋を触って探るというのが難しい場合、かなりの膨隆のケースだと術前にCTをなさっていると思います。ですので、CT写真を見ていただくと、腹直筋がおへそを中心として、だいたい何センチくらいの幅か、外科の先生と一緒に見ていただくと良いと思いますが、画像で判定できます。それを目安にしておへそから何センチくらいという確認ができると思います。手技で力を抜いて緊張がかかっていないお腹であれば腹直筋は探りやすいですが、お腹の中に炎症がある場合は探れないので、その時はやはり術前に撮られているCT写真を参考にされるのが良いかと思います。
  • ストーマの洗浄の時に、セラミドが配合された洗浄剤を使うことでもTEWLはコントロールできるのか、教えて下さい。
    セラミドは褥瘡予防のスキンケアでも大変話題になっていますが、セラミドは本来身体の中でできるもので、外から入れる合成のものは粒子が大きすぎて皮膚にはなかなか入って来ないだろうということも言われてきました。しかし、例えばJ社が出されているソフティという薬用洗浄剤はセラミドが入っていますが、皮膚科の先生が使用している方と使用していない方の比較をしてTEWLを計ったというデータがあります。それによるとセラミドが入った洗浄剤で洗った方の方がTEWL は低いという結果が出ていますので、やはり入っている洗浄剤を選んだ方が良いと言えると思います。