年間スケジュールSCHEDULE
ホーム » 年間スケジュール » S-QUE院内研修1000&看護師特定行為研修 » 第12回 知りたい! がん性疼痛と緩和ケア技術 [応用]
Eナース
S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第12回 知りたい! がん性疼痛と緩和ケア技術 [応用]
杏林大学医学部付属病院
坂元 敦子
ライブ研修 9月15日(水)/ オンデマンド研修 9月21日(火)〜10月12日(火)
がん性疼痛は大変辛い症状の1つです。長いこと、医療従事者の間でも対処困難な問題として取り上げられてきました。近年では、WHOが紹介するがん疼痛治療法やケアを実施することで、多くの患者が痛みから解放されるようになりました。苦痛を緩和するためには、患者の身近にいて支援者となるナースが治療やケアを正しく理解し実践することが重要です。ここでは、薬物療法を中心としたがん性疼痛のマネジメント、患者教育などについて解説します。
発信会場:発信会場:川崎幸病院(神奈川県川崎市)
質疑応答
-
- 痛みのために鎮痛剤を飲み、鎮痛剤の副作用のためにまた便秘薬や吐き気止めを飲む、というのは患者さんにとって負担ではないでしょうか? 副作用が出てから考えるのではいけないでしょうか。
- 鎮痛薬を服用しその上さらに下剤や吐き気止めもとなると、どんどん薬が増えて負担でないか、と患者さんを思う看護師さんの気持ちはわかります。しかし、先ほど資料を見ていただいたようにオピオイドの副作用はかなりの割合で発現するものです。特に便秘は必発と考えて良いものですから、予防することが重要です。薬剤の副作用は痛みと同じようにきちんと対処するべき症状として考えるということです。副作用症状が強くなってからでは、それを改善するのが難しいということもあります。それまで痛みという苦痛があった患者さんにさらに苦痛が増えるということになりかねません。患者さんのことを思いやって薬を増やさずにいたつもりが、あらたな苦痛症状を増やしてしまったということにならないようにしたいものです。また、副作用で苦しい経験をすると、「この薬でひどい目にあったから、もう使いたくない」と考えてしまうことがあります。この場合は、痛みがとても強くなっていてオピオイドを使用することが適切と考えられる状況なのに、その副作用の経験のために痛みの緩和が十分できなくなるということにつながります。このようなことがありますので、「鎮痛薬以外の薬も増えてしまうのは大変なことだなと私たち看護師も思っています。でも、この薬にはこういう副作用があり、その症状を予防することも大事なので一緒に飲みましょう」と看護師の気持ちも伝えながら患者指導していくのが大切ではないかと思います。
-
- 具体的な製剤についての質問で申し訳ないのですが、デュロテップMTパッチは72時間ごとの交換と説明を受けているのですが、以前のデュロテップパッチという商品で48時間で交換をしていた事例がありました。疼痛コントロールで72時間で張り替えるのと、48時間で貼り替えるのと、何か差があるのでしょうか。
- デュロテップMTパッチもデュロテップパッチも、72時間ごとに貼り替えて使用するものです。ご質問のケースでは48時間で貼り替えることになった理由が何かあるのではないでしょうか。例えば、私がこれまでに経験した同じようなケースは「交換日の少し前になると痛みが強くなるようなので、早めに貼り替えてほしい」というものや、「そんなに長い間貼り替えないことが心配」と不安を訴えたりというものでした。前者のように交換時期の前から痛みが増強するというケースに関しては、痛みのアセスメントがもう1度必要かと思います。現在の薬剤の量が適切か、不足しているかということです。不足の場合は増量し、痛みに対して適切な量と判断される場合は72時間ごとの貼り替えとします。後者のようなケースは患者指導が必要です。特に12時間毎に服用するような薬剤から72時間毎に貼り替える貼付剤へと変更した場合などは不安があるようです。薬剤の特徴を丁寧に指導することが必要であると思います。
-
- レスキュードーズの話が出ていましたが、患者さんによっては突出痛の間隔の短い方がいらっしゃると思いますが、何回も何回も薬が欲しいという方の使用回数の制限についてはどうでしょうか。痛みを訴えられる度にお渡しして良いのかと悩む場面がありますがいかがでしょうか。
- 突出痛がたくさんある方も確かにいらっしゃいます。レスキュードーズとして使用する薬剤は15分から30分で効果が現れます。1時間待っても効いてこない場合はもう1度、効果がなければもう1度、という考え方で何回でも使用します。オピオイドが過量になってしまった場合には眠気が生じてきますのでこれを目安にすることもできます。「痛みの具合はどうですか?前と変わって来ていますか?眠気はどうですか」と声をかけてみてください。しかし、毎日、1日に6回、7回とレスキュードーズを使用する患者さんがいらっしゃったら、定時投与量の不足を考えます。レスキュードーズに使用する薬剤は4時間程度で血中濃度が低下するものです。つまり、レスキュードーズを繰り返し使用しながら、必要な薬剤の量になるよう保っている状態であるということです。痛みのアセスメントを行いその上で必要な定時投与量への増量を考えなければならないと思います。
- 各研修のお申込み
- 年間スケジュール