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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第17回 早期離床のためのリハビリテーションの知識と技術

兵庫医療大学 リハビリテーション学部
高橋 哲也

ライブ研修 12月1日(水)/ オンデマンド研修 12月6日(月)〜12月27日(月)

元来、ヒトは重力に抗して垂直姿勢で立ち活動するような構造を持ち、各種生理機能は垂直姿勢での刺激に耐えられるように適応している。そのため、ひとたび安静臥床を強いられるようになると、呼吸機能をはじめとして、重力に抗して働く生理(調節)機能に様々な影響が生じる。 安静臥床による生理機能への影響を最小限に食い止めるために、離床を可及的速やかに実施する重要性は理解していても、ただ単に起こせばいいというものでもない。病態を考慮しながら離床(運動負荷)をしていい状態かどうかを慎重に判断する必要がある。また、病態が安定するまではベッドの上から離床のための準備をする必要がある。 当日は、早期離床の必要なリハビリテーションの基本を分かりやすく解説したい。

発信会場:発信会場:神戸逓信病院(兵庫県神戸市)

第17回 早期離床のためのリハビリテーションの知識と技術

質疑応答

  • 外科病棟に勤務していますが、最近高齢の患者さんが多いため、術後せん妄などで意思疎通が取れない場合に、患者さんの協力が得られないことが多いです。講義中、病態が安定するのに合わせてモビライゼーションを行うとおっしゃっていましたが、高齢者はこの期間が長く、そうしたことが困難なケースの早期離床の進め方を教えていただきたいと思います。
    臨床から出てくる切実な問題だと思います。高齢者の手術後は、不穏やせん妄が少なくありませんが、暴れてしまったり動ける方は逆に廃用症候群が進まないということが一方でもあります。せん妄が良いとは思いませんが、動けているのであれば、廃用症候群とか早期離床の心配はそれほどありません。環境が変わったり刺激が少なかったりするので、刺激の入れ方に工夫が必要かと思います。せん妄になってしまったから横になっていていましょうとか、安静にしましょうとか、寝てもらいましょうとか、そういう対応ではなく、立っていただくなどなるべく足からの刺激を入れ、頻回な関わりを通して日常生活の意識に戻していくような働きかけが必要です。
  • 内科病棟勤務なのですが、慢性的な経過をたどって行かれる患者さんが多くて、廃用症候群であろうと思われる方が結構いらっしゃいます。できるだけギャッジベッドを上げたり、食事の時には車いすに座っていただいたりしているのですが、あまり座らせ過ぎるのもよくないとお話もありましたので、1日にどのくらいの目安で座っていただくのが良いのかアドバイスをお願いします。
    病態、病期にもよりますが、いわゆる循環器系の廃用症候群、起立性の低血圧の予防などの観点から言いますと、だいたい1日210分くらいの座位、いわゆる足の方に血液をためる時間が必要というデータがあります。210分というと3時間半、一気にではなく、1日24時間のうちのトータルで3時間半くらいと考えて身体を起こしておく時間を担保すれば、循環器系の廃用症候群は最小限に抑えられると言われています。朝食を食べた後、少し座っていましょうとか、昼前の10時くらいは少し座っていましょうとか、そんな風に1日3時間半の座位を看護計画に組み込んで維持できれば良いでしょう。もちろん術後すぐは無理ですが、慢性的な経過をたどる際には実際的な時間だと思います。