年間スケジュールSCHEDULE

ホーム » 年間スケジュール » S-QUE院内研修1000&看護師特定行為研修 » 第1回  ケアに役立つ最新の感染管理の知識とスキル

Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第1回  ケアに役立つ最新の感染管理の知識とスキル

日本看護協会常任理事
洪 愛子

ライブ研修 4月6日(水)/ オンデマンド研修 4月11日(月)〜5月2日(月)

医療を受ける患者にとって、目的とする治療や看護を受ける過程において、医療事故や院内感染は期待しない事象であり、その発生を予防することに医療従事者は最大の努力をはらわなければならない。 患者に対する感染予防はもちろん自らを守る感染対策を理解し、日常のケアに常に応用していただくことを本研修プログラムの目標とする。いくつかの方法からひとつの手技を選択する際に、根拠となる考え方をあわせて理解することがスキルの習得につながる。

発信会場:発信会場:東京衛生病院(東京都杉並区)

第1回  ケアに役立つ最新の感染管理の知識とスキル

質疑応答

  • 当院では尿道カテーテルはラテックスではなくシリコンのカテーテルを使っています。尿路感染について有利な点、不利な点、現場での注意点などがあれば教えて下さい。
    ラテックスとシリコンに関しては、大差はないと理解しています。カテーテル自体が親水性のものという点で、水に濡れるとぬるぬるした感じとなるラテックスまたはシリコンの素材のものは、尿道に入った時に粘膜を傷つけにくいという利点があります。ただ、カテーテルの素材の問題だけではなく、日常の管理がとても大事で、どんなに良いカテーテルを使用していても管理がダメであればすぐに感染が起きてしまいます。お話したような予防対策を十分に理解し、皆さんが日常のケアをきちんとしていくことが、素材の選択と共に重要かと思います。
  • 疥癬(通常の疥癬とノルウェー疥癬)の患者の床の消毒について教えてください。
    疥癬はヒトの皮膚角質層に寄生するヒゼンダニの感染によって発症します。細菌やウイルスと違い「ダニ」の一種ですから、消毒薬は無効です。普通の疥癬は日常的な清掃で充分ですが、角化型疥癬(ノルウェー疥癬)はヒゼンダニの寄生数が非常に多く(100万~200万匹)、皮膚の落屑と共に床などの環境に落下したヒゼンダニも無数に存在していると考えられます。環境に対しては適切な感染対策が必要です。具体的な方法を2つ示しますが、一つは、角化型疥癬の患者が使用した部屋を2週間閉鎖してから掃除機や使い捨て雑巾で清掃する、もう一つは、ダニ用の殺虫剤を散布した後に掃除機や使い捨て雑巾で清掃する、という方法です。
  • 定期的な尿道カテーテルの交換は必要ないのでしょうか。
    尿道留置カテーテルを挿入する手技は、挿入時に尿道や膀胱粘膜を傷つけたり、陰部に存在する微生物を尿道へ押し込むなど、尿路感染発生のリスク要因となります。ですから、感染予防のためにカテーテル挿入の機会はできるだけ避けることが重要です。カテーテル交換のタイミングとしては、(1)発熱など症状のある尿路感染症が発生した場合、(2)尿中の浮遊物や析出塩類などによるカテーテルの閉塞が見られた場合が挙げられます。ただし、カテーテル挿入が30日になるとほぼ100%細菌尿をきたすといわれていることもあり、施設によっては1か月に1回程度を目安に交換しているところもあります。
  • バイアル類(例1%キシロカインE、ボルヒール、オムニパーク等)も手術前使用時にアルコール消毒をした方がよいのでしょうか。
    講義の時に説明しましたように、輸液製剤や注射薬のゴム栓は、滅菌しなければならない、あるいは無菌でなければならない、という規定がありません。ですから、ゴム栓を滅菌していないメーカーも多いようです。またバイアル類などは、ゴム栓とキャップの間に隙間があり、完全に密閉されているわけではありません。やはり、「無菌でない場合がある」と認識して、開封する時には消毒することをお勧めします。
  • 輸液(当院ではセファメジンを使用)の密閉してある物でも、輸液交換時はアルコール消毒した方がよいでしょうか。
    A4.と同じ回答です。例えば院内で採用している薬剤すべてについて各メーカーに問い合わせ、どれが滅菌されていて、どれがされていない、ということを調べたとしても、それに合わせて個々に消毒する、あるいはしないという対応では、現場は混乱するでしょう。「無菌でない場合がある」という認識を職員が統一して持つことで、開封時の消毒を習慣化するという対策が現実的だと考えます。
  • 一般薬剤は製造過程で滅菌されているのでしょうか。
    何が滅菌されているかを気にされているのでしょうか。注射薬の中身は当然滅菌されていますが、外容器のことでしょうか。この質問に関しては、回答が難しいので、気になっている薬剤のメーカーに問い合わせていただいたほうが確実です。各薬剤の製造過程について充分こちらでは把握できていません。
  • マーカイン等比重等、アンプルが包装されて、"滅菌"とありますが、本当に大丈夫なのか、紙で包装されているので心配です。日本では滅菌保証されていないと聞きましたので・・・。
    講義の中で話した内容は、輸液製剤や注射薬のゴム栓の滅菌が規定されていない、ということで、アンプル薬剤のことは関係がありません。「マーカイン注脊麻用0.5%等比重」などはアンプルを包装しているブリスターペーパーに「滅菌済み」と書かれていますので、その中身の滅菌は保証されていると考えられます。