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Eナース
S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第9回 最新のケア技術(1)(酸素療法)
杏林大学医学部付属病院 集中ケア認定看護師
露木 菜緒
ライブ研修 8月3日(水)/ オンデマンド研修 8月8日(月)〜8月29日(月)
「Aさんは15L/分で酸素を投与しています」「けっこう、高流量なのね」日ごろ、このような会話を交わしていませんか?酸素流量が10L/分や15L/分のことを高流量だと思い込んでいませんか?「高流量酸素=高濃度酸素」だと勘違いしていませんか?患者さんに有効な酸素療法を行うには、「濃度」と「流量」の違いを理解したうえで携わることが大切です。ナースが日常的に行っている酸素療法ですが、そのしくみや正しい使い方は意外に知られていません。酸素療法も使用方法を間違えれば生命に直結するエラーにつながります。酸素療法に関する事故事例も振り返りながら、今さら聞きにくい正しい酸素療法について解説していきます。
発信会場:会場:川崎幸病院(神奈川県川崎市)
質疑応答
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- 臨床の場で痰が多い方にも同じようなデバイスを選んで良いのでしょうか。時々マスクの中が汚れていたり、果たしてちゃんときちんとした流量が行っているのだろうかと疑問に思うときがあります。そういったケースでは実際にどのようにするのが良いでしょうか。
- 痰に関しては質問の多いところです。ひとつは痰が出にくい患者さんに加温加湿するのがどうなのかという疑問があると思います。加湿した方が痰が出やすい、加湿しないと堅くなって痰が出にくくなってしまうのではないかと思われる方が多いと思います。実は例えば3L酸素を流したとしても、残りの27Lは室内気を吸っています。ということは、私たちの吸入気の中の乾燥した酸素の割合はとても少ないです。ガイドラインの中で言われているのは、低流量システムであれば3L/分から5L/分程度までだったら、そんなに加湿する必要がないと言われています。高流量システムであっても40%程度までは加湿をする必要はないと言われています。加湿をするしないによって、さほど痰の粘性について自覚症状ともに、影響はないとされています。今ご質問があったような痰が多い人の場合ですが、マスクの中にべったりこびりついてしまっているような時は、もちろん拭い去っていただかなければなりませんし、感染への影響にもつながってきます。その都度拭き取るなど清潔を保つ必要があります。あと問題になってくるのが人工鼻です。人工鼻のフィルターに痰がこびりついてしまいますと、換気が阻害されてしまいます。あまりに痰が多い、血痰があるなどの場合には人工鼻は適用にならなくなりますので、そういう場合は高流量システムに替えていただくなどの工夫が必要となります。
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- リザーバーマスクについて質問です。バック内の容量はどのくらいになるのでしょうか? これがしっかり膨らんでいないと入っていないということと思いますが、1回換気量の時に600mL入っていて例えばプラスα10L/分流していたら、750mLまでは許容可能と考えてよいのでしょうか。
- リザーバー付マスクの容量は600~800mLくらいです。ですから毎回膨らんでいるのを確認していただかなければなりません。基本的にはバッグに貯まっている600~800mLから吸い上げることとなります。成人の標準は1回500mLと言われていますからそれにプラス100~200mLということでこのくらいの容量にしているのだと思います。しかし、実際にマスクをぴったりくっつけていても、バックがぺちゃんこになるようなことはあまり見たことがありません。先ほど一方向弁の説明をしましたが、患者の吸気流速が少なければ、一方向弁の動きが弱くなり、リザーバーバッグの中に貯まった酸素を吸えない、つまりバッグがへこまないことも考えられます。リザーバーバッグに貯まった酸素を吸えれば、高濃度酸素になりますが、実際は、マスクの周りの21%の室内気と混合しているものを吸っていますので、私たちが期待しているような60%以上の高濃度酸素はリザーバーマスクでもなかなか難しいのが現実です。吸入気酸素濃度は、リザーバーマスクを使っても実際には100%はあり得ません。マスクは常時密着できず、浮いてしまったり、ずれてしまったり、ちゃんと吸えているというのはほとんどありません。したがって、酸素流量と酸素濃度の概算表に示されているような酸素濃度は得られていないのが現実だと思います。
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