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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第16回 がん疼痛緩和の実践 緩和ケアチームとの協働 [応用]
近畿大学医学部附属病院がんセンター がん看護専門看護師
小山 富美子
ライブ研修 11月21日(水)/ オンデマンド研修 11月26日(月)〜12月24日(月)
がん患者の苦痛な症状のなかで、がん疼痛は出現頻度が高い症状です。がん疼痛は患者を身体的にも精神的にも苦しめ、生きる希望まで奪うことがあります。また、患者だけでなく家族をも苦しめ、大切な時間をその人らしく、その家族らしく過ごすことを阻害してしまいます。看護師は患者、家族の身体的、精神的、社会的な苦悩に触れる機会が多い職種であり、痛みを持つ患者と家族がより健やかな生活を獲得するための擁護者でもあります。看護師が疼痛マネジメントについての知識と技術をもつことはがん疼痛を早期から緩和するためにたいへん重要です。いつでも、どこでも緩和ケアを実現するために、がん疼痛緩和についての看護師の力を高め、がんであってもその人らしい、その家族らしい生活を支えることに取り組みましょう。
発信会場:発信会場:りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)
■ 第16回研修レジュメを準備しました。ご契約施設担当者の方は、事務局からのメールに記載のページよりPDF資料をダウンロードして下さい。
質疑応答
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- 緩和ケアチームの立場から1つ質問します。身体的な痛みに対しては痛みのコントロール方法とか、レスキューを使っていただく提案などはできるのですが、当院は精神科がなく精神面を診てくださる先生が常勤していないため、精神面やスピリチュアルな痛みに対しては、週に1度緩和の回診がある時だけしか来ていただけません。予測をすることも難しく、週1度ではスタッフも患者さんも翌週まで我慢していただかなければいけないことも度々あります。そのような時にスタッフにどのようなことに注意して指導すれば良いでしょうか。
- 精神科医が常勤でいるところは大変少なく、全国の施設で困っている課題です。週1回緩和ケアチームに精神科医が来てくれているというのは、とても大きな強みであり、まずその強みを上手く活用することを考えてみることです。次の1週間、我慢というより、精神科医がいない間にナースができることは何か、アセスメント方法、悪化した場合の対処、指示範囲内の薬物の使用方法など専門的なアドバイスを得ること、などです。精神科医不在の間、患者さんやスタッフは何を困るのか、問題を洗い出し十分な対策を立て、一緒に考えることがチームの役割と思います。眠剤などの使用に慣れていないと、評価の仕方や投与に躊躇することよくあります。それらについて、指導というよりは一緒に考えていただく方がナースにとっては良いと思います。
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- 余命がどのくらいか質問された時に困った経験があり、どのように対応したら良いのか迷いました。アドバイスをお願いします。
- まずはそういうことを尋ねられた時にご自身の感情はどうだったでしょうか。患者さんに難しい質問をされた時、自分は患者さんを「傷つけたらいけないと思って何も言えなかった」、「どういう態度が善いことなのかがわからなくなった」など。多くの場合こういう質問を受けたら動揺してしまいます。
きっとその患者さんはそのナースにしか聞けなかったのではないでしょうか。家族や他の人には遠慮して言えない苦しみやスピリチュアルペインは、難しい質問となって表現されることがあります。まず「そういうことが気になっているのですね」と、気にしていることをそのまま受け止めること。それに対して「何かを答えなければいけない」と思うと苦しくなりますが、答える必要はなくただ聴くこと。「そういうふうに思っていらっしゃるんですね」と伝え共感することで、理解された、受け入れられたと感じ安心できます。そして「なぜそのように考えていらっしゃるのですか?何か気になっていることがあるのですか?」など気がかりをたずねてみる。そして、気になっているそのことを、誰かに伝えたいか、(家族や医師など)に話してみたいか、などを一緒に考えることが大事であると思います。
この「余命を訪ねる」問いは必ずしも数字を教えてほしいものとは限らないこと。気がかりがあるがどう表現してよいかわからないときや、苦しさを誰かに話したいが、死について話すと家族を傷つけてしまう、先生に悪いと思ってしまうので聞けないなどの思いを持つことがあること、などを理解し、共に考えることが私たちにできることか思います。
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- 当院では緩和ケアチームがないのですが、何からはじめて行けば良いでしょうか。
- 緩和ケアチームがない場合、新たにチームを作るというのは時間も人件費もかかりますし、組織の意思決定が必要です。はじめになぜ必要かというみんなの思いを共有していただきたいと思います。緩和ケアを何とかしたいと思っているのであれば、まずは勉強会から始めたり、どこに働きかけるのが良いのかなどを検討します。例えば看護部が良いのか医師に働きかけるべきか、組織によって違うと思います。
患者さんや家族にとって緩和ケアチームがあったらどういう成果が得られる(良くなる)だろうかを話し合い、しかるべきポジションパワーのある相談者に相談してみるとか、教育担当と話をしてみるとか、段階をつけていくことが良いと思います。また、地域の中で緩和ケアチームをもっている病院の方に相談してみるのも良いと思います。現在全国でピースプロジェクトという医師の緩和ケアの学習機会が増えておりますので、開催しているところにコンタクトを取って研修会にに参加してみるとヒントが得られると思います。
- 当院では緩和ケアチームがないのですが、何からはじめて行けば良いでしょうか。
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- 患者様へのご家族の気持ちが強く、「ほんとうにこれで良かったのか」「何か間違いがあったのではないか」等の悩みを打ち明けられましたが、ナースとしてどのように説明するべきか悩みました。精神面での緩和ケア、ご家族への対応方法を教えてください。
- 家族が安心してこのように看護師に打ち明けられていること自体が、すでに家族の心のケアとなっていると考えます。患者の家族は治療と療養のプロセスの中で患者と一緒に、ときには代理として意思決定をしてこられ、どの決定も葛藤を抱えていることが多いためこのような「問い」を自分自身にかけていると考えます。。NSは、「問いへの答え」を出そうとする必要はありません、悲嘆や悔しさの想いを表出することを促し、聴き、理解を示すことにより家族が「自分がしてきたことが理解・受容された」と実感できる対応が必要でしょう。「どういう思いでそう言っておられるのか?」「これまでいろんなこと頑張ってこられたのですね」とたずねることや「悔しい気持ちなのですね」など気持ちを表出することを支え、これまでご家族がやってこられたことを労い、家族がいたからこそ患者が安心できたことなどを直接言葉でお伝えすることがよいと思われます。
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- 麻薬導入時、「麻薬」というものに抵抗がある患者様やご家族が多いです。ナースとしてどのように対応したら良いでしょうか。
- 「医療用麻薬」の特徴について理解し、安心できる説明ができることが望ましい。具体的にどのような懸念を持っておられるかをたずね、それに対してどのような返答が安心につながるのかをNSの技術として持つことが必要となります。また、漠然と怖いと思っている方は、「最後のお薬だと思って不安でしょうか?」など懸念していることを具体的に聞いていくことも必要です。多くの方は「最後の薬である」「命が縮む」「副作用で苦しむ」「一度使用したらやめられない」「廃人になる」など懸念しておられます。それらへの問いを薬剤師さんなどと共に患者・家族用に作成しパンフレットにするのもよいでしょう。「痛みどめの優しい知識(国立がんセンター監修)の冊子や、日本緩和医療学会緩和ケア研修(PEACEプロジェクト)の資料 「緩和ケアネットhttp://www.kanwacare.net/kanwacare/content04.html」などを参考にされるとよいでしょう。
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- 当院は急性期の患者とターミナルケアの患者が同じ病棟に入院しているため、適切な環境づくりが難しいように思います。一般病棟で何か工夫できることはありますか?
- 「一般病棟で、終末期や看取りの患者さんご家族が少しでも安心、心地よく過ごせる工夫をすることはとても重要なことです。そのような方には、面会時間をゆるやかにする、個室での自由度を検討する(子供の面会、複数名の滞在など)、自宅でのような時間や空間の工夫(家族の写真、思い出のものを貼れるボード)、不快な音や匂いを避ける工夫、心地よい音(音楽)匂いの提供、ボランティアの導入(お話し、散歩、音楽療法など)など、施設で許容できることを検討されてはどうでしょうか。施設関係なく、お誕生日や金婚式のお祝いの会、季節の行事などをデイルームや個室ですることなどでは病棟でも比較的工夫しやすいことですね。
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- 経口摂取はできないが、ADLにそれほど問題のない患者様の外出、外泊のすすめ方を教えてください。
- 外出、外泊については、本人と家族が安心して出かけることができること、外出、外泊の希望を患者・家族が持っている(何らかの意味を見出している)ことが大前提となります。安心できる要素としては症状緩和や交通手段、サポートなどが十分整っているかアセスメントし、不足な場合は調整することが必要です。外出、外泊の希望については、本人達の想いや気がかりは何か?をしっかりうかがって寄り添うことから共に考える姿勢が必要です。ご質問内容からは外出・外泊をだれが希望しているのかが不明なので明確な回答にならないかとは思いますが、外出・外泊することで誰が、どんなことを得られるのか?誰が、どんな負担を持つ可能性があるのか?をしっかり検討する必要があります。食事ができないのに帰りたくない、という本人の想いも大事です。経口摂取ができないということ自体なんらかの症状がある状態です。「身体症状に伴う気持ちの辛さ」がある場合、外出や外泊はさらに心理的苦痛を悪化させる可能性があります。終末期の患者には高い確率で気持ちの辛さが存在します。抑うつなどがある場合は活動をすすめないほうが良く、安心できる環境を保つことが最優先となります。
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- 年齢の若い患者の疼痛緩和の関わり方が、精神面を含めて難しく感じています。工夫されていることはありますでしょうか?
- 年齢の若い患者は、気持ちをうまく表出できないということが多いうえ、病気による悲嘆、悔しさ、将来の喪失感や漠然とした不安など気持ちのサポートをしようとしても、傷つけてしまわないかと、医療者側も構えてしまい、かかわりを難しくしてしまいがちです。ご本人が気がかりにしていることについて真摯にたずね、一緒に考える姿勢がまず大事と思います。若い方はこれからの自分を考えたいので、ありきたりな患者対応にはそぐわないと感じているかもしれません。医療用麻薬や痛みどめを使用したらダメになってしまわないか、将来もっと痛い時に効かなくなるのではないか、と考えているかもしれません。私は「今気になっていることはありますか?」とたずねるようにしています。また、「今、痛みをとることは、体力を無駄に喪失しないようにし、治療に向かう体力づくりに必要であること、今の健康維持であること」、などを説明しながら、やりたいけど痛みや辛さでやれないことは何か、それをできるようにするにはどうしたらいいかを一緒に考えるよう
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