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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第19回 患者さんの食べる機能を評価する

順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター
佐野 亜花里

ライブ研修 1月9日(水)/ オンデマンド研修 1月15日(火)〜2月12日(火)

入院中の患者さんや、在宅で療養している方の摂食・嚥下機能を評価する際、「このまま経口摂取を続けてよいのか?」または「経口摂取に移行することはできないか?」など悩まれることは多いと思います。今回のセミナーでは、講義・演習をとおして、摂食・嚥下のメカニズムやベッドサイドでできるアセスメントの方法を学んでいただきます。摂食・嚥下に関する知識・技術を習得し、患者さんの「食べる楽しみ」を支援しましょう。

発信会場:発信会場:平塚共済病院(神奈川県平塚市)

第19回 患者さんの食べる機能を評価する

■ 第19回研修レジュメを準備しました。ご契約施設担当者の方は、事務局からのメールに記載のページよりPDF資料をダウンロードして下さい。

質疑応答

  • 当院では、呼吸器内科にも誤嚥性肺炎を繰り返す高齢者が沢山います。ナースの日々の評価やちょっとした関わりが今後の患者さんの状態を大きく左右すると話を聞いて思ったのですが、ナースが継続して嚥下機能に関するケアを行っていく秘訣やポイントなどありましたら教えて下さい。
    皆さんが継続して関われるケアというと、まずは口腔ケアかと思います。口腔ケアには器質的口腔ケアと機能的口腔ケアがあります。器質的口腔ケアというのは、私たちがいつも行っている口の中をきれいにするというケアですが、機能的口腔ケアというのは、いつも行っているケアにリハビリを加えます。まずは口の中のマッサージ、頬の筋緊張をとるためのマッサージや、舌を動かす訓練をしたりとか、そういったちょっとしたケアを加えていただければよいと思います。口の中をきれいにしてその後に、「唾液を飲み込んで下さい」と言って指示し、嚥下反射をこちらから促すだけでも相当違ってくると思います。是非、毎日のケアに機能的ケアを加えてみてください。
  • 各種のスクリーニングテストがありますが、患者さんを感覚的に見て食べられそうな気がすると感じた時に、1つの方法だけだと心配ですので、どのテストとどのテストを組み合わせて評価した上でどんなものから食べさせればよいでしょうか。
    まずは機能評価をするときには、口の中を観察して、フィジカルアセスメントをします。そのあとに、必ず咽頭マイクで頸部聴診しながら、MWSTを行い、その後フードテストも行います。私の場合は、MWSTで3点であったとしてもFTで4点であれば、ゼリーなど、柔らかいものから直接訓練を始め、様子を見ながら少しずつ食事形態を変えたり、量を増やしたり、段階的に条件をあげます。
  • 改訂水飲みテストを行う場合ですが、絶食後初めての飲水をさせる場合、患者さんの実際の嚥下状況をわからない状態で行うのでけっこう不安です。冷水を使用となっていますが、とろみ材でとろみをつけた冷水でもいいのでしょうか?いつも疑問に思いながら実施しているので・・・。よろしくお願いします。
    絶食中の方に水飲みテストを実施する場合、その方の嚥下の状態がわからないため、水飲みテストをやって大きなムセや誤嚥を起こさないか、不安に思われる気持はよくわかります。
    絶食中の方の嚥下の状態を予測する方法として、(嚥下障害の原因となる疾患にもよると思いますが、)絶食中でも多少の唾液は嚥下しているので、唾液の嚥下はできているか、また口腔ケアの際、口腔内に残った水でむせていないか?なども観察ポイントだと思います。また、会話はしているか、声はよく出ているか、口の中は乾燥していないか?なども観察ポイントになります。
    私がMWSTを実施する場合、まずは十分口腔ケアを実施し口腔内を湿潤させます。頬の粘膜、歯茎、舌などをマッサージしその方の唾液の分泌を促すケアをします。溜まった唾液を嚥下していただき、ご自分の唾液でむせないかも観察します。その後、MWSTを実施しますが、MWSTは「3mlの冷水」とありますが、いきなり3mlではなく、1ccのお水から始め、問題ないようだったら2cc→3ccというように、徐々に増量していく方法が安全かと思います。1ccでむせるような方であれば、無理はせずそこでテストは中止してよいと思います。唾液も飲み込めていない可能性もありますので、「1ccでむせてしまった」という事実も今後の治療方針を検討する、重要な情報だと思います。
    もちろん、とろみ水で実施してもよいです。その際も、口腔ケアを十分行った後実施し、また記録には「とろみ水で○点だった」ということを残すようにしてください。
    講義中も申しましたが、スクリーニングテストは「嚥下障害があるか否か」を判断する検査ですので、ムセが起こるか起こらないかも重要な情報です。ムセが起こるということはその方に防御反応が残っているということなので、私はムセが起こっても慌てず騒がず、「良いムセですね~」と言ってます。問題はその方がどのようなムセ方をしているかです。「ゴホン、ゴホン」と激しくムセ、自分で喀出できているようなら大丈夫です。しかし、「ケホッ、ケホッ」と声にならないようなムセ方は不顕性誤嚥の可能性もありますから要注意です。
    摂食・嚥下障害患者への看護は誤嚥や窒息といったリスクがつきまといますが、色々な患者さんのケアに関わり、食べる機能だけでなく、毎日の生活状況を観察することによって判断できることも多くなるので、今後も果敢に取り組んでください。