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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第9回 ナースが知るべき検査値 ~凝固・線溶系検査と血液一般検査

埼玉協同教育研修センター 臨床検査部長/教育研修センター長 臨床検査専門医
村上 純子 氏

STAGE1〜2

ライブ研修 8月6日(水)/ オンデマンド研修 8月11日(月)〜9月8日(月)

凝固・線溶検査はにがて‥という方が多いようです。しかし、手術の時には止血を保証しなければなりませんし、手術後には肺塞栓症を察知しなければなりませんし、DICを見逃してはなりません。また、未曽有の高齢化社会を迎え血栓性疾患の重要性は増すばかりです。凝固・線溶検査はにがて‥などと言ってはいられません。 この研修では、「出血を止める」VS「血栓を予防する」という相反する事象を、数項目の基本的な検査データから読み解くことができるようになることを目指します。

発信会場:発信会場:平塚共済病院(神奈川県平塚市)

第9回 ナースが知るべき検査値 ~凝固・線溶系検査と血液一般検査

質疑応答

  • 出血傾向のスクリーニング検査のところで血小板、PT、APTT、フィブリノゲン量の4つだけ調べれば大丈夫と講義の中でありましたが、手術前検査セットには出血時間が入っていることがあります。4つだけ調べれば、出血時間はいらないという理由を教えてください。
    術前検査で出血時間をやるかやらないかということですが、必要ありません。今のように簡単に血小板数を測定することができなかった時代に、血小板数の代わりになることが「売り」だった検査です。止血に関わる要素のうち、おもに血管と血小板をみるもので、凝固系は反映されません。生まれてこのかた、特別な出血のエピソードがなく、血小板数とフィブリノゲン量がきちんと測定できるのであれば、出血時間は全く要らない検査です。
    まだ小さいお子さんで、家系に出血傾向のエピソードがあり、とくに先天性の結合組織異常、血小板機能異常、フィブリノゲン異常等が否定できないという、非常に限られた場合には行ってもいいかも知れません。ただし、フィブリノゲン以外の凝固因子の異常、たとえば比較的頻度が高い血友病などでは、出血時間は正常を示します。
    出血時間というのは耳たぶに穴を開けて血がぽたぽた垂れるのをろ紙で吸わせる検査で、患者さんには痛くて怖い嫌な検査です。また行う方も嫌です。しかも、血液から感染の危険もあるので、ぜひ、絶滅させたいと思います。私は今勤務している病院に3年ぐらい前に着任しましたが、その時は術前検査に出血時間が入っていました。「出血時間を止めましょう」と言っても、今まで行ってきたことを止めるというのはなかなか止めにくいものです。それで一生懸命考えて出血時間は次の場合に役立ちますというお知らせを出しました。
     1つ目は、国境なき医師団の一員としてアフリカの奥地に行って、血小板数がカウントできず、手術をしなければいけない人とは言葉が通じないので今まで出血して困ったことはなかったか訊けない場合。
     2つ目は、血小板数が少なかろうが、PT、APTTがどんなに異常だろうが出血時間さえ正常なら絶対出術するという場合。
     3つ目は、全く意義がないのはよく分かっているが出血時間を行っていないとどうしても不安でメスを持つ手が震える場合。
     これらをお知らせしたところ、その日の内に婦人科と外科から出血時間は止めますといってきました。