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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第3回 チームで取り組む医療安全対策シリーズ ドレーン管理をめぐるインシデントアクシデント

那覇市立病院 集中ケア認定看護師
清水孝宏 氏

医療安全(シリーズ) STAGE1〜4

ライブ研修 5月13日(水)/ オンデマンド研修 5月18日(月)〜6月15日(月)

患者管理におけるドレーンの役割は多種多様で、我々看護師は各種ドレーンの目的や観察、適切なドレナージを理解して実施しなければなりません。誤った管理は適切な治療を妨げることになり、ドレーンの事故(自己)抜去も時に重篤な合併症へとつながります。また適切なドレーン固定がなされなければ褥瘡などのスキントラブルも発生します。
ドレーン管理のインシデント・アクシデントに関する本講義は、安全な各種ドレーン管理についての実践を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

発信会場:発信会場:鹿児島赤十字病院(鹿児島県鹿児島市)

第3回 チームで取り組む医療安全対策シリーズ ドレーン管理をめぐるインシデントアクシデント

質疑応答

  • ドレーン固定に一番最適なテープの種類と材質があれば教えてください。
    ドレーンを固定するテープについて材質で1つこだわる必要があるのは、患者さんがドレーンのテープで痒みが生じてしまい、その痒みで皮膚を触ってしまいテープが剥がれることで自己抜去にいたる可能性があります。可能な限りアレルギー反応が少なく通気性の良いテープを選び必要があります。以前当院でよく使われていたのですが体温によって粘着剤が溶けてしまってベタベタと跡が残ってしまうテープに関しても自己抜去につながるのでお勧めできません。痒くなるような通気性の悪い素材や体温でテープの糊が溶けないような材質が望ましいでしょう。現在当院ではメッシュ状の素材で3Mというメーカーが出しているシルキーポアという製品を使用しています。これは通気性が良く、糊残りも無いためトラブルが回避できるようになっています。
  • 当院では認知症の患者さんや手術後の不穏時の患者さんのドレーン挿入中に自己抜去があるのですが、その点で工夫することはありますか?
    認知症がある患者さんは非常に増えてきており、ドレーンの意味も分からないので煩わしいものは抜いてしまうというインシデント・アクシデントが多いです。私達が心掛けているのはこのような患者さんに対し鎮静をかけるということよりもむしろ鎮痛をしっかりとしてあげることです。これは脳外科領域でも同じですが、意識レベルが低く意思の疎通の確認が出来ない場合でも、動いてしまうのは患者さんが痛みを伴っている可能性があると思われます。当院では術後にフェンタニルという麻薬系の薬剤を長期で使用しています。これは挿管していない患者さんにも使えますので、しっかり痛みを取ってあげることでモソモソと動くことも少なくなる可能性があります。痛み止めをしっかり使ってあげる事がポイントかと思います。鎮静に関しても時には必要ですが、鎮静を先にかけてしまうと活動性が低下しその結果離床が遅れ、ドレーン抜去のタイミングも遅くなり可能性があります。
  • ペンローズドレーンを留置中でバックには接続せずガーゼで排液を排泄している場合の開放式ドレナージの管理は、看護必要度的には有り、または無しのどちらになりますか?
    排液が少なければYガーゼでその上にガーゼを当てて管理できると思いますが、この交換が一勤務帯で3回や4回になりますと看護必要度的にはかなりの労力になりますので、大体、一勤務1回の交換であれば開放式ペンローズドレーンでYガーゼを当てて出来ると思います。一勤務帯で2回3回になる場合には半閉鎖式のドレナージに交換し、排液をバックに回収することに変更した方が看護必要度的には負担を軽減できると考えます。
  • 脳室脳槽ドレナージについて、三方活栓を付けて髄腔内投与をしてますが、感染などの管理からするとあまり三方活栓ない方がいいのではと思うのですがどうでしょうか。
    輸液ラインに関して最近はクローズドシステムを取り入れていています。これは三方活栓の閉め開けだけでも細菌が混入し、感染のリスクが高くなることを予防するためです。脳槽、脳室ドレーンのドレナージ回路についても三方活栓がなければ感染のリスク軽減につながると考えます。しかし脳槽、脳室ドレーンの場合は脳脊髄液の灌流を改善させるための細胞外液の投与や、くも膜下出血後のスパズム予防に血栓溶解剤を投与するときなどに三方活栓が必要となります。三方活栓には蓋(キャップ)があるタイプと蓋のない接続タイプのものがあります。当院では蓋を取って蓋を付ける形です。蓋を取って付ける時には新しいものなりますが、イソジンで消毒するようにしています。感染のリスクを考えれば今後閉鎖式のラインに変更しまた三方活栓も蓋を開けないでも注入可能なタイプに改良されるかもしれません。 三方活栓は脳槽、脳室ドレーンに限らず本来はない方が良いです。ただ薬液注入などの目的があるのでやむを得ず使ってるということをご理解いただければと思います。