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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第4回 最新呼吸療法のエッセンスシリーズ〜ほんとうに正しい酸素療法
秋田大学医学部附属病院集中治療室 集中ケア認定看護師
菅 広信 氏
呼吸管理(シリーズ) STAGE2〜4
ライブ研修 5月24日(水)/ オンデマンド研修 5月29日(月)〜6月26日(月)
酸素療法の歴史は古く18世紀後半には人体への酸素投与がされた記録が残っています。現在でも病院内外に関わらず、酸素療法は様々な分野で行われています。近年ではハイフローセラピーと呼ばれる、酸素投与方法もかなり一般的になってきました。しかし、酸素投与は使い方によっては良いところだけではないことも言われはじめています。皆さんも、酸素投与について疑問を感じながらも使用していることもあると思います。現実としては少なくともSpO2が100%で安心という時代は終わったといっても過言ではありません。もう一度、古くて新しい「酸素療法」の「ほんとう」について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
発信会場:湖東厚生病院(秋田県八郎潟町)
質疑応答
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- 当院では高齢の患者さんが多いのですが、るいそうが著明で頬がこけてしまいマスクで酸素投与していても隙間があり、なかなかSpO2が上がらないのでリザーバーマスクに換えたところ、SpO2が上がりましたのでリザーバーで酸素投与をしておりました。この対応で適切でしょうか。 また、他に何か隙間を埋まるマスクなどないものでしょうか。
- 高齢で痩せている方はマスクが浮いてしまいます。先ほど講義の中で、施設によって対応はバラバラだとお話しましたが、何を優先すべきか?ということになると思います。コストを取るか、様々な患者に対して有用なデバイスを取るのかということです。デバイスがたくさんあるのは理解して頂いたかと思うのですが、施設の都合もありますので悩むところではあります。ただ、無理に埋める必要はないでしょうし、リザーバーマスクも使いようです。あまりに乾燥して乾いているのでしたら、たまに外してあげるということも必要だと思います。隙間をうまく埋める方法というと、あまりいい案がないように思います。施設次第ではあるのですが、リザーバーマスクしかなくSpO2が90%程度しか維持できないというのであれば、いたしかたがないかと思います。ただ、患者さんのためにもっとよいデバイスをというのであれば、施設にデバイスの購入を提案するというのもありだとは思います。講義中に少し話しましたが、大きな穴があり、ストローで飲むことのできる酸素マスクがあります。これだと、るいそうがありマスクがフィットしなくても、いくらかは有用な可能性があると考えます。
- 当院では高齢の患者さんが多いのですが、るいそうが著明で頬がこけてしまいマスクで酸素投与していても隙間があり、なかなかSpO2が上がらないのでリザーバーマスクに換えたところ、SpO2が上がりましたのでリザーバーで酸素投与をしておりました。この対応で適切でしょうか。 また、他に何か隙間を埋まるマスクなどないものでしょうか。
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- 無気肺予防のために臥床ではなく、なるべくヘッドアップするように日々努めているのですが、酸素マスクをしている方のヘッドアップの時と臥床状態の時の酸素マスクの効果の具合というのは、あまり変化がないものでしょうか。
- 同じ酸素流量でも、ヘッドアップすることによって何か身体にとって変わるものがありますかということかと思います。確かに臥床したままというのはよくありません。いわゆる下肺側障害を起こすことがありますね。そして、ヘッドアップが良い理由を説明します。普通に呼吸をして、息を吐いても、肺胞の中には必ず空気があります。その分を機能的残気量(FRC)と言いますけれども、これが多ければ多いほど基本的には酸素化は良いと言われています。肺胞の中に酸素が多くあるので、その分酸素化できるということになります。ヘッドアップすることで機能的残気量は増えますので、肺胞という袋を大きく使えるということになります。したがって、同じ酸素を投与しているのであれば、無気肺などがなければSpO2は基本的には上がるはずと思って頂きまして結構だと思います。ただ、仙骨部に圧はかかりますので、その辺りのケアを行えば頭部を挙上しているということは、推奨すべきことだと思います。
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- 酸素マスクを5L/分ほど投与したあと、先生の指示により減量でカニューレでの2L/分に換えるよう指示された時に、患者さん自身では痰を出すことができなく喉元でゴロゴロと溜まっているような音がしまして、口腔も咽頭も乾燥しているような患者さんがいらっしゃいました。先ほどの講義のお話ではカニューレは3L/分までは加湿不要ですとのことですが、最初の5L/分の時に使用していた加湿を2L/分に減らした段階で継続して使用しても効果はないものでしょうか。
- 低流量システムで何らかの加湿による湿度をうまく使うのは結構難しいです。成人は30L/分吸気するという話を講義中にしました。2L/分程度、加湿したところで何も変わらないというのが私の考えるところです。そのため、他のケアで補うしかありません。「口腔内が乾燥して仕方がない」というのであれば、酸素療法ではなく、口腔ケアとして保湿を考えた方がよいかと思います。 私の施設の場合ですと抗炎症薬も含んでおり、口腔内にも使用できるアズノール軟膏を塗布して湿潤状態を保つ方法や、その他にもいろいろと市販品のものがありますので、使用を検討してはいかがでしょうか。更には、酸素マスクではなく普通の感染予防のマスクをしてもらうというのも加湿の1つの手です。ただ、ずっと付けていますと耳に皮膚障害を起こすこともありますから、何か挟む、外すなどして皮膚ケアも考えた方が良いかと思います。 また、咽頭部などがゴロゴロするというのもなかなか難しい話ですが、患者の身体がどの位のinとoutになっているのか?熱がないか?脱水の原因は何であるか?輸液は足りているのか?経口摂取できているのか?嚥下機能は?咳ができない理由は何であるのか?といった総合的なアセスメントが必要な話になってきます。ただでさえ、高齢者は脱水になりやすいことが知られていますから、酸素療法だけなく、いろいろなケアの方法を考える必要があると思います。場合によっては部屋をどうにかして加湿する必要があるかも知れません。
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