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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第7回 輸液管理の基本〜滴下計算から小児・高齢者対策まで
筑波大学附属病院 集中ケア認定看護師
柴 優子 氏
基礎看護 STAGE1〜2
ライブ研修 7月5日(水)/ オンデマンド研修 7月10日(月)〜8月7日(月)
輸液療法は、体内の内部環境を維持するための治療法であり、非常によく実施される治療のひとつだと思います。そのため、私たち看護師にとっても日常的な看護のひとつとして実施されています。しかし、輸液療法は、薬剤が直接循環器系に入るために適切な処置が求められます。また、どうしてこの輸液製剤が処方されているのか、疑問に思ったことはないでしょうか。今回の研修では、輸液療法の基本をおさらいし、明日からの実践に少しでも役立てられるようなお話をさせて頂けたらと思います。
発信会場:CIVI研修センター秋葉原(東京都千代田区)
質疑応答
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- 1日の水分量のところについてお話いただき、今後実践していこうと思っておりますが、例えば発熱がある方には、大体1日どのくらい補液するものなのか教えてください。
- 喪失量についてのご質問かと思いますが、患者さんによって体温や、それに伴う発汗であったりとか、あるいは嘔吐や下痢であったりなどによって喪失量は全く変わってきます。基本的には維持輸液プラスアルファとして、喪失量はどのくらいか、それに対してどのくらい補正するかというのを先生が計算して出しているはずです。
計算式ですが、喪失量が分かっていても、喪失分と全く同じように補正してしまうと、過剰になってしまう可能性がありますので、基本的には喪失分の1/2から1/3を補正するという考え方で輸液の投与量の計算をしていると思います。
また、ただの発汗の場合か、胃液や下痢の場合では喪失する電解質が全く違います。例えば胃液の場合では、HClの喪失が多く、下痢の場合ですと重炭酸の喪失が多いという違いがありますので、おそらく何を喪失しているのかによってどういう電解質を補正したらいいのかも考えて計算していると思います。
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- 細胞外液補充液が5種類ほどあるとお話されていましたが、使い分けをどのようにしているのか教えてください。
- 細胞外液補充液について5種類お話ししましたが、講義の中では大まかな違いしか説明しておらず、さらにカルシウムの量について、マグネシウムの量について何も触れておりませんでした。病態によってどう使い分けるかというところまで触れていなかったですが、例えば、重炭酸リンゲルは主にアシドーシス補正を頑張らなくてはならない時などは、おそらく第一選択で使われると思います。また、乳酸リンゲルは乳酸が入っていますが、末梢循環不全の時などは特に乳酸値が高くなりますので、乳酸性アシドーシスの時などは、乳酸リンゲルの投与を避けようと考えたりするかと思います。
ただ、いろいろ計算しますと、乳酸リンゲルを投与してもあまり乳酸値が上がらないという考えもありますので、そこまで詳しく考慮せずに乳酸リンゲルを投与する先生もいると思います。結構先生方の好みもあるかと思います。
- 細胞外液補充液が5種類ほどあるとお話されていましたが、使い分けをどのようにしているのか教えてください。
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- 生食の大量輸液ではアシドーシスに注意が必要とのことですが、大量輸液となる目安の量はあるのですか?
当院でもショック時は細胞外液が2L以上補液されること多いのですが、自分が担当となった時には1.5Lの輸液時に方針が決まり、入院もしくは転院となり引き継ぐことが多く大量輸液ってどのくらい補液することかがわかりません。 - まず、「大量輸液」の具体的な数値での定義はないと思われます。
そのため、①どのくらいを大量投与と表現しているか、をみてみます。
敗血症のガイドラインでは初期大量輸液療法として、30ml/kgあるいは2Lを概ね1時間以内としています。DKAでの初期輸液では、500-1000ml/hあるいは15-20ml/kg/hで開始とあります。
そのため、体重60kgの人の場合、だいたい1L/hくらいで大量と言えるかもしれません。
次に、①「生食投与によるアシドーシス」に関する論文の一部をみてみます。
McFarlane(1994)は、生食群と調整電解質輸液群に分けて、15ml/kg/hで術中輸液を実施し、生食群ではアシドーシスを来しています。また、Scheingraber(1999)は、生食群と乳酸リンゲル群に分け、30ml/kg/hで術中輸液を実施し、生食群では2時間後にはアシドーシスを来しています。Young(2014)は外傷患者で、生食群と膠質液群でわけて24時間後の結果をみおり、両群とも24時間で約15Lの輸液が投与されており、やはり生食群でアシドーシスとなっています。しかし、これは初期にどのくらい急速に投与したかはよくわかりません。
おそらく個人差はありますが、ひとつの目安として約15ml/kg/hくらいだとアシドーシスを来す可能性がある、と考えて良いのではないかと思います。
ただ、アシドーシスの危険があるため生食はだめ、とは思わない方が良いかと思います。現在も、敗血症やDKAなどでも、どの輸液製剤が良いのか、どのくらいの量が良いのか、などについて臨床研究を積み重ねている段階です。アシドーシス以外の要素、例えば患者のアウトカム(例えば、死亡率や腎機能障害など)も含めて検討されていますので、一時的にアシドーシスになることは許容される場合も大いにあると考えます。
- 生食の大量輸液ではアシドーシスに注意が必要とのことですが、大量輸液となる目安の量はあるのですか?
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