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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第8回 Dr.大島一太の心電図講座シリーズ 「心電図レベルアップ〜実臨床に役立てる!12誘導心電図を理解しよう」
大島医院 院長
東京医科大学八王子医療センター循環器内科 兼任講師
日本看護協会看護研修学校 非常勤講師
大島 一太 氏
心電図 STAGE2〜4
ライブ研修 7月19日(水)/ オンデマンド研修 7月24日(月)〜8月21日(月)
近年の高齢化に伴い、心臓病の患者さんは急増し、循環器科だけでなく、多岐にわたる診療科目で遭遇する機会が増えています。心臓病の患者さんは、急変や突然死、ときに瞬間死を招く場合も少なくありません。このため臨床の最前線では、医師だけでなく、看護師や検査技師など、どの診療科目で働く誰もが、心電図を正確に判読し、異常や危険を察知できる実力が求められています。 みなさんがモニター心電図で異常をみつけたとき、実臨床の場では、ベッドサイドに急行し、速やかに12誘導心電図を記録、正しく判読し、初療にあたらなければなりません。みなさんは、12誘導心電図を正しく記録し、判読できますか? そこで今回は、このような実臨床の流れに則し、12誘導心電図の詳しい読み方の基礎を、わかりやすく解説します。 視聴して頂いたみなさんには、モニター心電図だけでなく、ぜひ12誘導心電図も正しく判読できる実力を身につけて頂きたいと思います。
発信会場:東大和病院(東京都東大和市)
質疑応答
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- 私たち看護師は、医師の指示や胸部症状があった際はすぐ12誘導心電図を取るのですが、どちらかと言えば24時間付けている心電図モニターの方がわりと身近にあり、ほぼ理由がない限り2誘導でずっと心電図を見ているのですけれども、心電図モニターを見る上で気をつけるべきことや学ぶべきことがあれば教えてください。
- 確かに心電図モニターは大事です。私も心電図モニターの本を書いております。実臨床では、心電図モニターで異常を見つけたら必ずベッドサイドに急行し、きれいで正しい12誘導心電図を取ってくださいと書いてあります。そしてドクターコールに結びつけるということが求められています。
12誘導心電図のメリットは、心臓の障害を負っている部位の診断ができることや、今日お話ししたように、心臓を立体的に判読できるということになります。例えば、12誘導の一部の誘導でしか変化が現れないこともあり、それを2誘導やV5誘導のモニター心電図では、その特徴的な変化が現れてこない場合もあります。しかし、不整脈の診断などではモニター心電図で長時間モニターを装着し、その異常や証拠を捕まえるには非常に有用と思います。
今まではモニター心電図で勉強されてきた方が多いと思いますが、私自身はやはりモニター心電図であれ、おかしいと思ったらやはり12誘導心電図をきちんと記録するということが、皆さんに求められていると思います。12誘導心電図を記録するということは、その波形を読んでコールしないといけません。あまり職種は関係ないと思いますが、看護師でも臨床技師でもどなたでも臨床の最前線で患者さんの一番近くで働いている方が、実力があるかどうかということは非常に求められています。例えば、胸が痛いという時に12誘導心電図を記録する、心電図を読めるようになると、ST低下を見つけたいという気持ちになってきます。その心電図をぜひ記録して、読んで、それをきちんと判読してドクターコールに結びつける、またはファーストエイドにあたるということを患者さんのために臨床のマネジメントに結びつけてもらえればと思います。
モニター心電図は、長所としては長い間の記録に向いているということですが、不整脈の診断の証拠を捕まえたりするのにも向いています。モニター心電図には有線式と無線式というのがありまして、救急外来などで患者さんのベッドサイドに有線式でつないでおく場合と、入院中の患者さんで無線を飛ばして一台の心電図モニターで何十人もの患者さんの波形が見られる場合がありますが、症状の頻度や程度が少ない患者さんの発作、あるいは証拠を捕まえるのに向いていると思います。ただし、それであれと思ったらぜひ12誘導心電図を取ってもらいたいと思います。2誘導では変化が現れるが、V1誘導では変化が現れないということもあり、2誘導だけをモニターしている心電図波形では分かりません。
私が臨床の現場で感じるのは、患者さんの一番近くで働いている皆さんが、きれいで正しい12誘導心電図を記録してそれをしっかり読めるということが臨床の最前線で求められているということを強く感じます。
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- 講義の中で、小さなことにも気づいて判読できるようにとおっしゃっていましたが、どうしても波形を取った時に自動判読で出てきたのをまず見てしまうのですが、そこから判断を広げていってもよいのでしょうか。
- まず答えを見たくなるものですが、大事なのは異常所見に気づくということは言うまでもないことです。その所見をどうやって判読するか、どうやってその背景にある臨床診断に結びつけていくかということです。例えば、胸部誘導で陰性T波がみられる場合での、いろいろな疾患を講義の中で提示しましたが、陰性T波というのは自動判読で出てきますが、それが何かということは出てきません。そうしますと、胸部誘導の陰性T波を見たらどんな病気があるのか、その読み方はどうなのかということになりますが、たこつぼ心筋症、肺塞栓症、陳旧性心筋梗塞など、その臨床背景に結びつけるのはやはり我々になります。
患者さんを診察したり患者さんの症状を聞いたり、かつ講義で説明したような心電図の波形を見ながら、その背景にある臨床に結びつけるということが一番重要だと思います。
自動判読をきっかけにその異常所見に気がつき、その異常所見からその背景にある臨床診断に結びつけていくという読み方をされるのがいいのではないかと思います。今日の講義というのは、こういう波形が見られたらどんな病気が考えられるかというような流れになっています。つまり自動判読でこういう結果が出ました、ではどういう病気がありますか、という今の質問に則したような内容になっています。V1、V2誘導で高いR波がみられますが、ではどんな病気かということは自動判読では出てきません。その部分をぜひ臨床診断位結びつけてもらえればと思います。
心電図をきっかけにしてどんな検査をし、どんな初療に入っていくかということは、心臓疾患の場合は、スピーディーに躊躇なく行われることが求められます。それは心疾患や脳の病気の場合は、少しずつ具合が悪くなるわけではなく、突然急変したりするからです。ですので、心臓カテーテルに行くのか、右手と左手を逆にして取り直すのか、電解質異常があるのか、QT間隔は大丈夫なのか、など一枚の心電図からぱっと判断して、カテーテルをした方がいいのか、血液検査した方がいいのか、造影CTを撮った方がいいのか、心エコーやった方がいいのか、というように分かれていきます。
ですから、やはり異常所見に気が付いて、その背景にある臨床診断を考えながら、その次に行う検査や初療にあたっていくという実臨床の流れに則した判読をするというのが重要なのではないかと思います。
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