年間スケジュールSCHEDULE
ホーム » 年間スケジュール » S-QUE院内研修1000&看護師特定行為研修 » 第20回 入院中の認知症の人に対する看護〜様々な疾患を伴う患者さんへのアセスメントとケア
Eナース
S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修
第20回 入院中の認知症の人に対する看護〜様々な疾患を伴う患者さんへのアセスメントとケア
国立長寿医療研究センター副院長
鷲見 幸彦 氏
老年看護 STAGE2〜4
ライブ研修 1月24日(水)/ オンデマンド研修 1月29日(月)〜2月26日(月)
認知症の人が、身体合併症を起こして入院した際に、せん妄、離棟・離院や転倒といった事象が発生し、入院の継続が困難となることは珍しくない。認知症の人が入院という大きな環境変化に適応できず、せん妄や行動・心理症状が誘発されることは容易に理解できるが、現在の急性期病院において、これらの病態に十分に対応できているかというと多くの問題が存在する。病院医療スタッフの認知症に対する理解の不足、適切なアドバイザーの不在も対応困難を助長している。これらの問題点に対応す ることにより、一般病棟スタッフの認知症の人に対する対応力や対応技術の向上が期待できる。当センターの試みを中心に解説する。
発信会場:慈恵会グループ エリーネス須磨介護の家(兵庫県神戸市)
質疑応答
-
- 勤務している病院も急性期で、講義にあったような急な入院の際に、せん妄を起こしてしまう方がやはり多いです。職員の中でも優しく対応している時は安心できるのですが、まだ職員への啓発が十分ではなく、患者さんに向かって大きな声を出してしまう時があります。先生の病院では統一した関わりができているものでしょうか。
- 頭では分かっていてもそうはできないこともあると思います。例えば勉強会を開き、知識として持っていても現場で夜すごく大変な時にあちこちで火の手が上がると、やはり優しくなれない時はあると思いますし、それは理解してあげなければいけないと思います。私たちが行っていることは、100%というのはなかなか難しいことが多いですので、しかたがないかと思います。大きな声を出した方でも後になってすごく後悔していることもあると思います。
-
- 先生のように先頭に立って実践している病院を私たちから見ると羨ましいと思うのですが、先頭に立つ医師はやはり必要でしょうか。
- ある面では必要ですが、講義でお話したような多職種チームでは医師はあまり先頭に立たない方がいいと思います。むしろ後方に位置していた方がいいと思います。講義の中のチームでも先頭は看護師です。
院外で行っている、最近よく言われる「初期集中支援チーム」でもやはり先頭は訪問する看護師でして、医師はどちらかというと後ろに控えて医療上のアドバイスを与える役割になります。病院の中でチームを作っていく時には、医師に手伝ってもらった方が何かと都合がいいので当然必要なのですが、実際にチームの活動をする時は、医師は先頭でない方が良いと思っています。
- 先生のように先頭に立って実践している病院を私たちから見ると羨ましいと思うのですが、先頭に立つ医師はやはり必要でしょうか。
-
- 地域医療相談センターの医療ソーシャルワーカーをしております。当院も急性期ということで施設に入所される患者様がすごく多いのですが、やはり認知症がある患者様でどうしても自宅では診ることができないため、どこかの施設に入らなければいけないという時に、本人にどうしても納得していただけず、施設を探すのが行き詰まってしまうことがあり、当院としてはご家族に説得して頂いて進めていくといったことが多いのです。医療者側から本人やご家族に納得して頂けるような方向性を作っていく際に、どのような働きかけをされているでしょうか。
- こうすればよいという方法はないと思います。本人がどのくらい施設に入所せざるをえないことを理解できているかということもあると思いますし、周りの状況が見えなくなり自分のことしか考えられなくなっている状態ですと、ご家族は疲れ切っていても本人だけは絶対と言って主張を曲げず、やはり私たちは第三者の立場から総合的に自宅では難しいと考えなければならない時もあり、基本的には本人を説得する形になると思います。
ただ、本人を騙してはいけないですけれども、説得する際にいろいろな話し方があり、例えばリハビリがもう少し必要ですとか、本人にとって前向きになるような説得の仕方はありかと思います。
家族がこんなに困っているからといったことをどうしても言いがちになりますが、それは本人に言ってもしょうがないことですので、「あなたのためにこういう点がいいですよ」ということを強調することです。私が比較的よく話すことは「入院している時でもあなたは周りの人たちとよくやれるじゃないですか。こういう病気の場合は、周りの人とうまくやれる人は自宅じゃない方が脳の力が保たれますよ」といった話をよくします。
本当の意味で本人の同意を得て行き先を探せるのが理想ですけれど、やはり認知症という病気の場合は本人の同意という点がなかなか難しいです。
- 各研修のお申込み
- 年間スケジュール