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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第12回 リハビリテーションにおける栄養管理

横浜市立大学付属病院 リハビリテーション医学
若林 秀隆 氏

回復期 STAGE2〜4

オンデマンド研修 9月25日(火)〜10月23日(火)

リハビリテーション(リハ)を必要とする方の多くに、栄養障害やサルコペニアを認め、これらが機能障害、活動制限、参加制約の一因となるため、栄養管理は大切です。しかし、特に急性期病院では、無自覚のうちに看護師が栄養障害やサルコペニアを作っていることがあります。例えば、医師から「とりあえず安静・禁食・水電解質輸液」という指示があった場合、指示通りに看護することが多いかもしれません。しかし、適切な評価に基づいていない指示の場合、医原性の栄養障害やサルコペニアを作ることになります。この研修では、リハ栄養の考え方、サルコペニア、医原性サルコペニアを作らない看護について紹介します。

発信会場:藤沢湘南台病院(神奈川県藤沢市)

第12回 リハビリテーションにおける栄養管理

質疑応答

  • サルコペニアには分岐鎖アミノ酸だけを摂取すればいいのでしょうか?
    分岐鎖アミノ酸はもちろん有用ですが、分岐鎖アミノ酸だけ摂取しても十分な効果は得られないと思っています。栄養面では分岐鎖アミノ酸も含めた多くの種類のアミノ酸を摂っていただき、栄養だけではなく運動とセットで、特に筋力トレーニングとセットで行うことが有用です。
    具体的には、筋力トレーニングを行い、その直後30分以内にタンパク質、分岐鎖アミノ酸を多く摂ると、筋タンパク合成が増えると言われています。トレーニング、リハビリテーションとセットで摂ることを心がけてください。
  • リハ栄養を実際に現場で進めていくにあたって、具体的なアドバイスやどう実践していくべきかお聞きしたいと思います。
    まず、医原性サルコペニアを作らないということを最優先に考えると、患者さんの活動が「ベッド上安静」で良いのかいけないのか、このあたりを理学療法士と一緒に見ていただくことが必要だと思います。実際、重症患者だから離床できないわけではありません。循環動態が不安定な患者さん、呼吸状態が極めて不安定な患者さん、そして脳梗塞などで麻痺が進行しつつある患者さんなどでは離床は難しいですが、単に重症疾患なだけの場合は、離床可能な場合が多いです。私の施設では、救命ICUであっても一般的なICUであっても基本的には入棟した翌日くらいから理学療法を全ケースで始めています。離床が本当にできないのかどうか、理学療法士と評価するのが良いと思います。
    次に経口摂取に関しましては、もちろん嚥下の評価をして嚥下造影や嚥下内視鏡といった検査がありますが、それらを臨床現場で入院後2日以内に行うのは簡単ではないと思います。一部の病院では、嚥下内視鏡検査を行えるかもしれませんが、実際にはスクリーニングテストを行っていただくと良いと思います。これは看護師だけで行っても良いですし、言語聴覚士と一緒に行ってもいいと思います。
    具体的に私がお勧めしているのは、3ミリの水飲みテストとフードテストです。3ミリの水飲みテストというものは、シリンジに水を3mL入れてそれを口から飲み込んでもらうものです。その時に、むせのない誤嚥というものが起こりうるので、頸部聴診法という、喉に聴診器を当てて飲み込んだときの「ごっくん」という音とその後の呼吸音を聞きます。そして酸素飽和度がすっと下がる方がいますので、パルスオキシメーターでそれをチェックします。
    フードテストというのは、ゼリーやプリンを小さじ一杯、3〜4グラムぐらい食べていただいて聴診をし、パルスオキシメーターも確認します。
    フードテストが用意できなければ3ミリの水飲みテストのみでも構いません。それが問題なければ、1日1回ゼリー1個であったり、とろみ少しであったり経口摂取できるのでは?と主治医に提案していただくと良いかと思います。
    また、栄養に関しては、点滴にどのくらいエネルギーが入っているか、タンパク質やアミノ酸が入っているか、ぜひ点滴のラベルを見てほしいです。エネルギーが何キロカロリーか、アミノ酸が入っているかいないか、ラベルを見ると書いてあります。医療者も患者さんも家族も点滴していれば安心と思いがちですけれど、まったく安心ではないケースが多々ありますので、まず点滴のラベルを見て知っていただく、興味を持っていただくところから始めてみて、その上で管理栄養士か、もしくは栄養サポートチームと連携していただけると良いかと思います。