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S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第3回 急増する誤嚥性肺炎を防ぐ!「食べる・食べ続ける」為の包括的支援

調布東山病院 摂食・嚥下障害看護認定看護師
甲斐 明美 氏

呼吸ケアシリーズ STAGE1〜2

オンデマンド研修 5月7日(火)〜6月4日(火)

日本の死亡原因の第3位は肺炎である。その多くは高齢者であり、誤嚥性肺炎が占める割合は大きい。また身体機能の低下している高齢者は、入院治療の経過中に肺炎を合併するケースも少なくない。入院中に発症した肺炎は、身体機能とADL低下を招き、経過を長引かせ、QOLの低下や、医療費の増幅を余儀なくさせる。その為、多くの医療機関では、専門的な職種が、嚥下評価を行い、訓練を行う仕組み作りを行っているが、それだけではなく、多面的で包括的な評価と支援を多職種で行うことが必要である。本セミナーでは、最近の誤嚥性肺炎の治療や、ケアの考え方を、具体例を提示し解説していきたい。

発信会場:公立昭和病院(東京都小平市)

第3回 急増する誤嚥性肺炎を防ぐ!「食べる・食べ続ける」為の包括的支援

質疑応答

  • 誤嚥性肺炎で入院する80代や90代の高齢の方で、入れ歯が合わない方がすごく多く見受けられます。そういった方々が食事を始めるときは、やはり外して適した形態で食べる方がよいのでしょうか。それとも合わせて食べる方がよいのでしょうか。医師もなかかなか口腔外科にかけてくれるということもないのですが、何かいいアドバイスがありましたら教えてください。
    当院でも義歯のトラブルの方がたくさんいらっしゃいます。まず初回評価のときに、実際にその義歯を使っていたかどうかという情報を得てみますと、ギリギリ使っていたという方も中にはおりますが、食べるときは外して、美観のために出かけるときだけ付けていたといったケースもあったりします。義歯がしっかり食べることにつながっていたかといいますと、疾患の状況によっては口腔で噛む力を加えることもできないので、普段は付けていても、意識状態が少し曖昧だったりするとより外れやすいという方も多いです。
    やはり初めは無理に合わないものを入れて食べていただくよりも、患者様の口腔機能に合った食形態に落として食べていただき、それで良くなっていく経過で早めに歯科にかけていただいて、応急処置になるかも知れませんが、義歯の適合が良くなるように、少し補填すると装着できる方も中にはいらっしゃるかと思いますので、それから合わせた状態で咀嚼の状況を評価していくというのがベストかと思っています。
  • 口腔ケアの方法のところで、加湿と保湿とブラッシングが大事ですとお話されていましたが、こういったことを実践していくにはある程度の時間が必要かと思います。しかし、勤務が忙しいときに後回しにしてしまうことも多々あるので、その場合でも抑えておくべきポイントがあれば教えてください。
    やはり加湿が大事です。スプレータイプの保湿剤がいろいろなメーカーさんから出ていますので、時間がないという場合は、加湿だけはするようにスプレーの保湿剤を購入していただき、勤務の合間か、または痰の吸引のときに少し噴霧するという形で、乾かさないようなプランを立てて行っていくこともあります。
  • 講義の中で紹介してしたポジショニングシートですが、すごく分かりやすくて自分でも作成してみようと思います。こういったシートを作成されたあとに継続していくのは大変かと思いますが、毎日、朝昼晩継続していけるようなコツといいますか、多職種でどう共有していけばうまくいくのか教えていただければと思います。
    よく活用するのは、患者様に写真に撮らせてもらってベッドサイドに提示しています。個人情報の兼ね合いもありますが、患者様の許可があれば、私やPTさんやSTさんが作成して、このように座らせてくださいと提示をしたり、患者様のファイルの中に入れ込むということを一緒に取り組んで、様々な方と共有し意思を統一するようにしています。
  • 認知機能が少し低下している患者様ですと、食事そのものが認識しにくいといった場面があったりします。正解はないかと思いますが、そういった時には工夫する点など教えていただけないでしょうか。
    確かに認知機能が低下し、さらに低栄養なども進んでいますと、食欲がなかなか戻ってこないといった患者様も多く経験してきました。活用できるかと思うのは、その方の食事の習慣です。なかなか病院の食事ですと食欲もわきませんので、ご家族に持ってきていただいたものを食べてもらうとか、あとはリスクがある方はどうしてもゼリーなどを提供しがちですが、思い切って、手に持てる唾液で溶けるおせんべいなど、塩分の強い米菓などで味覚を刺激し、食欲を回復させるといったことはよく提案させていただいております。