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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第7回 やさしい12誘導心電図の読み方〜モニター心電図を卒業しよう!

大島医院 院長/東京医科大学八王子医療センター循環器内科 兼任講師
大島 一太 氏

STAGE1〜2

オンデマンド研修 7月8日(月)〜8月5日(月)

近年の高齢化によって心臓病の患者さんは急増し、専門だけでなくどの診療科目でも遭遇する機会が増えています。かつてナースはモニター心電図だけ判読できれば良いという時代がありましたが、現在の実臨床の場で、それでは全く通用しません。心臓病の診療は12誘導心電図から始まり、正しく判読して有効に活用できなければ、診断をつけられないばかりか、急性心不全や心筋梗塞に対する心臓カテーテルなどの治療すら始めることができません。患者さんの一番近くで働いているみなさんが12誘導心電図を判読できれば、急性心筋梗塞や致死性不整脈によって、急変、突然死、ときに瞬間死をきたす状況を回避できる可能性もあります。そこで今回は、どの診療科目で働く誰もが、新人からベテランまで、必ず知っておくべき12誘導心電図の基礎について、みなさんと一緒に勉強しましょう。

発信会場:南多摩病院(東京都八王子市)

第7回 やさしい12誘導心電図の読み方〜モニター心電図を卒業しよう!

質疑応答

  • 循環器病棟で看護師長をしておりますが、12誘導心電図に苦手意識を持っているスタッフがおります。また私も12誘導心電図の勉強をする中で、楽をしてマスターはできないと思っております。何か効果的な学習の取り組みはあるでしょうか。
    まずは、やはり先輩に聞いて教えてもらうのがよいかと思います。実際に患者様の近くにいると本を読む時間もなかなかありませんし、皆さん悩みながら覚えています。私が研修生のときは、分からないことを先輩に聞くと、教科書に書いてあるだろと言われましたが、実際に図書館に行って調べても、肝心なことというのは、実は意外に教科書には書いてありません。例えば、STが低下した際、何ミリまでは様子をみてよいかということはどこにも書いてありません。私も何冊も心電図の本を書いていますが、そういったことは書いていません。実臨床の場で、このくらいのSTの低下であれば問題ないが、胸痛に伴って少しでも下がった場合は危険ですといったことは、やはり実際に経験されている先輩や上司に教えてもらうのが非常によいと思います。
    一番間違いないのは、実際に12誘導心電図を取ってみるということになります。実臨床では、それほど珍しい病気の方はいません。今回は初級編としてお話しましたが、心電図は実はいろいろなことが分かります。私は日本不整脈心電学会の心電図検定の問題を作成しておりまして、そこではすごく難しい問題を出すのですが、実臨床ではそのような知識は全くいりません。必要な知識は、今回お話したようなことがだいたい全てです。P波を見たら洞調律かどうかを判定し、QRS波を見たら異常Q波かQS波がないかを確認します。それらの波形を認めましたら、循環器緊急コールをしたり、あるいは心エコーを取り心臓のポンプ力が低下してないかどうかを調べます。あとはST上昇または低下ですが、ST低下を見つけたらファインプレーだと思います。患者様が胸が痛いと言ったときに、循環器以外の人がパッと心電図を取ってST低下と判断できたらすごいレベルだと思います。ST低下の波形を取ってみたいという気持ちになることが大事です。モニター心電図ですと下がってないことも少なくなりません。12の方向から見てはじめて下がる誘導が出てきますので、12誘導心電図でないと記録できないということです。ST上昇を見つけたらもっとすごいです。ST上昇を見逃していたら、その患者様はまず間違いなく発症から24時間以内に亡くなります。さらにQT延長を見つけたらさらにもっとすごいです。ですので、12誘導心電図を取ってみるということが大事かなと思います。そんなに怖い所見はありません。電極の色の頭文字をとって「せきぐちくむ」だけ覚えていれば大丈夫です。
    最後に、ナツメ社の「これならわかる心電図の読み方 モニタから12誘導まで 著・大島 一太」を読んでみたらよいかと思います。この本はフルカラーで12誘導心電図から不整脈まで全部カバーしています。