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Eナース

S-QUE院内研修1000’ & 看護師特定行為研修

第17回 看護研究のためのやさしい統計学

ハワイ大学がんセンター 看護師・疫学者
岡田 悠偉人 氏

看護研究 STAGE1〜4

オンデマンド研修 12月10日(月)〜1月7日(月)

近年はコンピューターとインターネットの急激な進化に伴い、医療データに関する知識が飛躍的に進歩しており、統計学を理解することが必要な時代になってきた。しかし、統計学においては難解な数式や専門用語が多く、自己学習することは非常に困難である。そこで今回は、理論的な背景よりも実践的な解析方法に焦点を当てて、実際の臨床現場でどのように統計データを提示し、また解析するのかに焦点を当てて、明日から使える統計学を講義する。具体的には、正規分布や標準偏差、カテゴリカルデータと2群検定について学習していく。受講後には、看護研究の発表や病院経営の会議で、統計データを正しく提示し、解析することができる。

発信会場:CIVI研修センター秋葉原

第17回 看護研究のためのやさしい統計学

質疑応答

  • 統計をしていく上で統計解析ソフトがあると思いますが、何かよいソフトを推薦していただけますか。
    実は今、統計のソフトが無料で使えるようになっています。「R」というフリーソフトですが、初めの1ヶ月くらいはとても難しいです。僕もデータの処理や、今皆さんに見ていただいたグラフも全て「R」で作成しました。
    僕の後輩で大学院に進んだ看護師も2年間頑張ってきちんと統計ソフトを自分で使えるようになりまして、今はとてもすごいことができるようになっています。なんと人工知能的なものも作れるようになっています。その後輩が行っていたのは、基本的なデータを入力したら、「R」はマシンラーニングで看護必要度を出してくれるというものです。毎日つけていた面倒なものがカルテのデータから自動で統計ソフトを使ってできます。
    講義の中で紹介した本の右側の方にも、「R」のソフトのパソコンへの導入の仕方からプログラミングの仕方まで書いてありますので、初めは厄介だと思いますが、だんだん楽しくなってきますので「R」というソフトをぜひお薦めします。
  • 講義の中でお話していたスライド10の箱ひげ図についてです。日本バージョンとハワイバージョンの2つあるとおっしゃっていましたが、論文を書く際はどちらを採用したらよいでしょうか。
    僕は国際ルールに従った方がいいと思っています。日本の場合は、最低から最高まで全ての数をあのグラフの中に入れてしまいます。僕たちは25%と75%を計算して、そこから“ひげ”を生やすので外れ値がたくさん出てきます。ただ、こちらの方が世界基準になっています。おそらく「R」で行ってもデフォルトではそうなると思います。ですので、最大値、最小値を入れる日本の一部の人が行っているグラフよりは区間を伸ばしたものになりますし、「R」が行ってくれる箱ひげ図にした方が外れ値が分かるということです。
  • データを100とか200集めるときに、カルテを見ながら取るのはかなり大変だと思いますが、何か工夫されている点などありましたらお伺いしたいと思います。
    オススメがありまして、大きい病院ですとDPCデータというものがあります。厚生労働省に診療報酬を出すために医師がDPCへ、在院日数や診断名や合併症について、薬は何を使用しているかといった結構看護に関係したことも入力しています。ですので、皆さんが例えばICUで在院日数を調べたいと考えた際は、ITの人たちにDPCデータくださいと伝えますと、きれいに揃ったデータがもらえます。
    年齢、診断名、喫煙の習慣があるかといったことも分かりますので、例えば、糖尿病外来で自分の病棟をそろそろ禁煙指導したいと考えた場合には、そのDPCデータを受け取れば、喫煙している人が介入したあと1年後にはどのくらい減少したか分かります。
    IT関係者の方は電子カルテ使っていますので、新しく調査する必要はありません。病院によりましては倫理関係の書類を提出する必要があると思いますが、そういった方に問い合わせていただくと、かなり揃ったデータが取れますので、簡単に楽に看護研究ができると思います。
  • 私も統計ソフトの「R」を勉強したことがありますが、実際に病棟でスタッフに看護研究をしてもらうために「R」を使用する場合、使いこなすまでのハードルが高くなります。データであれば医療情報から抽出できますので、エクセルですと初心者でもある程度統計の解析ができるようになっていますが、エクセルでは解析結果の信頼性は落ちるものでしょうか。
    エクセルでよいと思います。エクセルでも少し拡張しないといけませんが、拡張しますと講義の中でお話しましたT検定など計算してくれます。ですので、発表くらいでしたらエクセルでよいと思います。ただ、雑誌に載せたい場合などに大きなデータを扱うとエクセルですと止まってしまうことがあります。
    ITの方ですとプログラミングできたり、病院の中に大学院生がいれば代わりに行ってくれたりといったことがあるかと思いますが、実は講義の中で紹介した本の中で、「R」をインストールしたあとに「Easy R」という特殊なソフトを組み込みますと、エクセルのように選ぶだけで「R」をプログラミングして自動で結果を出してくれます。ですので、「R」をインストールした際に、紹介しました本を読んでいただいてフリーの「Easy R」を追加してもらえれば、プログラミングしなくてもクリックするだけで講義の中で紹介したようなきれいな図など出してくれますので、エクセルか「R」のどちらでも好きな方を使っていただいてよいと思います。ただ、最終的には「R」を使っていただけますと私としては嬉しいです。